鬼門日本平を突破する。J2札幌は今日20日、アウェーで清水と対戦する。会場のIAIスタジアム日本平は、チーム創設以来公式戦9戦全敗で、清水に対しても15戦1勝13敗1分けと苦戦中だ。四方田修平監督(43)は「連続守備」で突破口を開くことを明言。ピッチ対策も万全に行い、苦手の敵地で難敵からの勝ち点奪取を狙う。

 試合前日の練習を終えると、四方田監督はDF増川を呼び止め、ピッチ上で意見交換した。昨季まで神戸に在籍した、清水の一番新しい情報を知るベテランの言葉に耳を傾けた。「1点を争う厳しいゲームになる。気持ちのこもったゲームをして、勝って札幌に戻ってきたい」と、勝ち点3奪取を口にした。

 長く苦杯をなめさせられてきた。リーグ戦、天皇杯、ナビスコ杯で計15度対戦。01年の札幌ドームでのVゴール勝ちが最初で最後の勝利で、日本平では引き分けすらない。得点も札幌が5点で、清水は23点。短く湿った芝生は球足が速く、パスサッカー向き。「清水が伝統的にやろうとしているサッカーがやりやすいコンディション。熱狂的なサポーターの圧力もある」と指揮官は分析する。

 「守備で連続してプレーし、スキを与えない」(四方田監督)ことで、難敵から勝ち点を手にする。相手パスの出どころを複数選手が囲んでボールを奪う。抜かれても次の選手が前に出て、シュートにはもっていかせない。FW都倉は「今週はピリッとした感じがあるし、みんないい準備ができている。安定した守備から、いい攻撃ができれば」と、自信をのぞかせる。

 18日には練習場のゴール前に水をまき「仮想・日本平」の芝コンディションを作り、セットプレーを確認した。4バックの守備も試し、戦況に応じて戦い方を切り替える準備も整えた。「(清水に)攻撃力はあるが、こちらも(得点)チャンスは作れるはず」と、四方田監督は話す。

 MF深井は2年前、日本平での天皇杯清水戦で右膝前十字靱帯(じんたい)と内側半月板を損傷し、長期離脱した。「ピッチが滑るのは確かだし、気になるのは事実。ただこれからも選手としてやっていく。そんなことは言っていられない」。苦い過去と別れを告げ、J1昇格への足がかりにする。【中島洋尚】