熊本に力を! 磐田は今日16日、ホームで横浜と対戦する。昨季までJ2熊本で5年間プレーしたFW斉藤和樹(27)は、14日夜に発生した熊本地震被災者への思いを抱きながら、横浜戦で先発出場する。名波浩監督(43)は15日、母校清水商(現清水桜が丘)出身の熊本関係者に連絡を取るなどした。磐田は横浜戦の開始前に、被災地支援の募金活動を行う。

 練習を終えた斉藤が、不安そうな顔で言った。

 「あんな大きい地震がくるとは。家の中がぐちゃぐちゃになった人や、避難している人もいたので心配です」

 昨季まで5年間、熊本に住んでいた。地震が発生した午後9時26分頃には就寝していたが、報道に気付いた妻に起こされ、熊本の選手や関係者に連絡を取った。メールやライン、ツイッターで全員の無事を確認。震度7を観測した益城町(ましきまち)に実家がある選手のことや、知人が避難所にいることも知ったという。

 対して斉藤は今、サッカーができることに感謝をし、5試合ぶりに先発出場する方向だ。今季6得点で得点ランク首位のFWジェイ(33)が、前節新潟戦(2-1)で左足首を打撲しており、名波監督も「ジェイはまだ治療中でダメ」と欠場を明言した。全体練習後、シュート、PK練習をした斉藤は言った。

 「FWなのでやっぱり得点したい。熊本の選手が無事だけど、被害にあった人もいるので何とも言えない。いいプレーをして、勝ちたい」

 クラブは今日の横浜戦に際し、全ゲートに募金箱を設置する。開始前の午後5時半から6時までは、ベンチ外の選手が募金活動に参加する。名波監督はこの日、清水商時代の後輩で熊本強化スタッフの筑城和人さん(31)に連絡して無事を確認したという。「クラブや木村(稔)社長や選手会とも相談して、支援できることがあれば」。静岡から1000キロ以上離れた熊本へ。サッカーで思いを伝える。【保坂恭子】