浦和MF平川忠亮(37)が、3日のアジアチャンピオンズリーグ1次リーグ浦項戦で、2カ月ぶりに先発する可能性が浮上した。

 2日に会場の埼玉スタジアムで行われた公式練習では、先発濃厚とみられる選手たちのチームに入り、右サイドMFでプレーした。「出場機会があれば、好調なチームの流れを崩さないように、ハードワークしなければいけない。その中で、自分らしさを出していきたい」と話した。

 在籍15年目のベテランは、3月2日のアウェー浦項戦で先発も、その後はベンチ入りの機会もなかった。しかし練習では常に好プレーをみせ、全体練習終了後には1人で、無人のグラウンドを黙々と走る姿があった。チームスタッフは「あれを見せられたら、後輩の選手は多少出場機会が少なくても、文句など言えない。今のチームのまとまりは、ヒラあってのもの」と口をそろえる。

 「浦和をもう一度強くしたい」。そう繰り返してきたチーム最古参は、1日に37歳になった。1年の抱負を聞かれると、やはり「どんな形であれ、チームが優勝するため、自分が持てる力で貢献したい」と言った。一方で、一選手として自分の力を示したいという、心の炎が消えたわけではない。

 「この試合を足掛かりにしないといけない。勝ちが計算できる選手だということを示さないと。そう感じてもらえれば、この先もチャンスはめぐってくる」

 居残り練習などで、きちんとコンディションを整えてきただけではない。今年に入り、トレーナーに肉体改造のメニューづくりを依頼。「体脂肪を落としたいんですよね。シュッとしたと言われたい」と冗談めかすが、上半身の強化で球際の強さをさらに磨こうと試みてきた。

 事あるごとに「在籍年数が長いというだけで、大事にしてもらえるような甘い世界じゃない」と言ってきた。かつて「野人」FW岡野もうなったスプリント力は、今も健在。経験を重ねてきたことで、サイドでの駆け引きは円熟の域に入っている。

 加えてMF柏木が「めっちゃうまい」というように、決して目立たないが基本技術のレベルは総じて高い。小野、遠藤、小笠原らと同じ79年生まれ。「黄金世代」の一員が、黄金週間の埼玉スタジアムを沸かせる。【塩畑大輔】