残り1分で追いつき、ロスタイムで決めた。清水が3位C大阪に2-1で逆転勝ちし、J1自動昇格への希望をつないだ。後半44分に途中出場のFW北川航也(20)が左足で同点とすると、終了間際にMF白崎凌兵(23)が強烈ミドルで決勝ゴールを挙げた。今季4度目のロスタイム逆転劇。敵地のC大阪戦では18年ぶりに勝利し、価値ある勝ち点3を手にした。

 清水がまた奇跡を起こした。0-1で迎えた後半44分、FW北川が左足で同点ゴールを挙げると、流れが好転した。同ロスタイム、MF白崎はゴールから約20メートルの位置でボールを受け、中央から右足を一閃(いっせん)。強烈ミドルがゴール左隅に突き刺さった。J1自動昇格を争うライバルを粉砕。白崎はほえ、チームメート、スタッフ、敵地に駆けつけたサポーター1000人以上が歓喜した。

 今季8点目を決めた北川は誇らしげに振り返った。「内容はどうであれ、勝ち点3をもぎ取る勝負強さを出すことができた」。今季、逆転勝利を収めた4試合は全てロスタイムのゴールで決着している。この日も先制されたが、途中出場の北川、FW金子翔太(21)ら若手が流れを変えた。ヒーローの白崎も「苦しい試合を勝ってきた経験があるから、今日も最後まで諦めなかった」とうなずいた。

 この1勝は大きい。J1自動昇格圏内2位の松本も勝利し、勝ち点7差は縮まらなかったが、プレーオフ圏内(6位以内)の他5チームからの今季初勝利だ。3位C大阪との勝ち点差は3。小林伸二監督(56)も「上位勢に勝てたことはチームにとって前進」と手応えを口にした。

 今季は残り8試合で次戦はホーム町田戦。白崎はチーム共通の思いを口にした。「今日の勝利を無駄にしないためにも次が大事」。J1自動昇格圏に入る望みもつながった。とにかく勝ち続けるしかない。【神谷亮磨】