川崎Fが1-0で大宮を下し、クラブ史上初の決勝進出を決めた。後半40分にDF谷口彰悟(25)が決勝点。今季のJリーグMVPに選ばれたMF中村憲剛(36)は、クラブ初タイトルへ強い決意を示した。来年元日の決勝は、Jリーグチャンピオンシップ(CS)準決勝で敗れた鹿島と対戦する。

 均衡を破ったのは後半40分。中村がサポーターの声援をあおり、CKを蹴った。相手がクリアしきれず、DFエドゥアルドがつなぎ、DF谷口が決めた。川崎F一筋プロ14年目の中村にとって、初の元日決戦。場内インタビューで感極まりつつ「遠回りしすぎたが、やっとたどり着くことができた」と口にした。

 我慢の先に勝機があった。東京との準々決勝で持ち前の攻撃力を見せた一方、この日は苦しんだ。危ない場面もあった。シュート数は互いに11本ずつで、川崎Fらしくない1-0。中村は「執念があった。今年に関しては、悔しさはうちの方が上。しぶとい勝ち方ができるようになってきた」と振り返った。

 あと1歩のところでタイトルを逃してきた過去の悔しさはハンパではない。リーグのMVPを取っても「欲しいのはタイトル」だけ。悲願まであと1勝に迫ると同時に、退任する風間監督と移籍するFW大久保らとのシーズンもラストゲームになる。相手は、CSで敗退させられた後に、クラブW杯でRマドリードと対等に渡り合った鹿島。「あの悔しさは忘れてない。リベンジを果たす。必ず勝って自分たちがチャンピオンになる」と息巻いた。

 幼いころから憧れていた1月1日の晴れ舞台。「鹿島に勝つ。それだけです」ときっぱりと言い切った。集大成を見せ、今度こそクラブ史を変えにいく。【成田光季】