総監督から監督に「復帰」した小嶺忠敏監督(71)率いる長崎総合科学大付が、快勝で初戦を飾った。国見時代に6度選手権を制した名将のタクトが、4大会ぶりの初戦突破をもたらした。

 15年9月に総監督から監督に就任。「いやあ、私は何もしていませんよ」と謙遜しながら、ピッチでは勝負にこだわった。相手2トップにマンツーマンで守備。個人技で勝る相手を完封した。「普段は違うんですけど、そうせざるを得なかった。内容で負けたけど勝負には勝ったかな」。前半7分に先制し、後半29分に2点目。小嶺監督の描いたゲームプラン通りだった。

 経験に基づいた戦術は変わらないが、変えたものもあった。2点目を決めたMF薬真寺(やくしんじ)は「小嶺監督になってチームが明るくなった。監督自体が明るいですから」。フィジカルトレーニングを含め厳しい指導も特徴だった小嶺監督だが「今の時代、そんな厳しいことをしたら選手はやめてしまう。この時代に合わせたやり方をしないと」。選手と積極的にコミュニケーションをとり笑顔にさせる雰囲気づくりで、新チームをつくってきた。70歳を超えても過去、国見時代に選手権で見せた「勝負師」の姿は衰えを知らない。【浦田由紀夫】