そんな和やかな雰囲気が徐々に熱を帯びていく。

 浦和は昨季、チャンピオンシップで2年連続で敗れて年間王者を逃した。短期決戦が弱点というイメージを拭えなかった。主将の阿部には、さまざまな国籍の選手が集まった日本代表を束ねた闘将に聞いておきたいことがあった。

 阿部 どうやってチームをまとめたの?

 リーチは箸を止めた。短く言葉を切りながら、手ぶりを交えて答えていく。

 リーチ まずはいろいろ、選手の言うことを全部聞いてみる。重要なのは、Want(やりたいこと)と、Need(やるべきこと)。1人1人の考えをしっかりと整理する。(チームや個人にとって)必要なことを優先する。やりたいこともできる限り、実現できるようにしたい。

 相手のすべてを受け入れてから、解決策を考える。そうして考え方や文化が異なる選手をまとめたという。同じような言葉を繰り返して説明を尽くすリーチに阿部は何度もうなずいた。浦和には今季、ブラジル人を含めて7人が加入する。短期決戦で成果を出したリーチの意見は貴重だった。

 背中で引っ張るタイプの2人は、同じ赤き名門を引っ張る立場で深く共感した。約2時間半、話は尽きなかった。最後は固く握手を交わし「また」と言って別れた。浦和は今日14日に始動する。阿部は“リーチ流”を力に変え、巻き返しに挑む。【岡崎悠利】

 ◆阿部勇樹(あべ・ゆうき)1981年(昭56)9月6日、千葉県生まれ。市原(現千葉)ユース時代の98年にJデビュー。千葉で05、06年にナビスコ杯連覇。浦和に加入した07年はACL優勝。10年にイングランドのレスターへ移籍し、12年に復帰。日本代表の国際Aマッチは10年W杯南アフリカ大会など53試合で3得点。178センチ、77キロ。

 ◆リーチ・マイケル 1988年10月7日、ニュージーランド・クライストチャーチ生まれ。来日し北海道・札幌山の手高に入学。東海大-東芝。13年に日本国籍取得。日本代表キャップ47。家族は日本人の妻と娘。2月からはスーパーラグビーのチーフス(ニュージーランド)で3季目のプレー。189センチ、105キロ。