初のJクラブとの実戦で課題を得た。仙台は宮崎・延岡キャンプ4日目の1月31日、J2大分と練習試合(45分×3)を行い、合計3-3で引き分けた。守備ではカウンターを浴びることが目立ち、攻撃は単調に終わった。渡辺晋監督(43)が今季目指す新布陣「3-4-3」の修正点が見つかった。

 課題が出たことが最大の収穫だった。Jクラブとの今季初実戦で、新システムの短所が次々にあらわになる。しかし、渡辺監督は「やれることを増やしていければ、今の時期はいい。不具合が出た方がいい」ときっぱり言った。

 1本目の5分に、左サイドから突破を許して失点した。3バックのデメリットであるカウンター攻撃を立て続けに浴びた。左サイドバックに入ったDF石川は「不利な状況で(ボールを)回したことでカウンターをくらうことが多かった。守備も攻撃もちぐはぐだった」と振り返る。2本目、3分にFW石原が相手GKとDFの連係ミスを突いて得点を決めたが、7分に前線へ攻め上がった瞬間を狙われて失点した。

 最終ラインからのビルドアップも単調だった。ウイングバックからのクロスも少なく、シャドー陣は無得点に終わった。3本目にシャドーで出場したMF中野は「自分としてもいいことができなかった。受けたいところのタイミングも合わなかった」と話した。

 それでも渡辺監督は試合中、あえて選手に指示を出さなかった。「どの辺からボールを奪うのか、どこで引くのかを選手にゆだねた」。昨年末に欧州視察を終えて、好不調の波がチームを襲うシーズンを勝ち抜くには、選手の自立が重要と認識。本番に向けて、その考えは一貫していた。

 選手たちも必死だ。石川は試合後、広島や浦和で3バックを経験している石原に助言を求めた。「ビルドアップをするときに、どうやったらもらいやすいかを聞きました。次はこうしたいというのがいっぱい出てきた」。戦術理解を深めて、レベルアップを図っていく。【秋吉裕介】