<期待と気合!!新たな力>

 ▼FW阪野 実は山形男だ。明大在学中の09年天皇杯で山形相手に得点を決め、浦和加入後のプロ初得点も山形。昨年は木山監督率いる愛媛でプレーし、山形から2点を奪った。「一番成長できると思った」と、師弟関係継続を志願。前線のキープ力やDFラインの裏に抜け出す動きが武器で、1トップとしての献身的な守備も高い水準でこなす。エースFWとして、2年連続の2桁得点に期待がかかる。

 ▼FW瀬沼 高校の先輩に当たるパス供給役の本田と「桐光学園」ホットラインを完成させる。185センチの長身を生かして前線のターゲットになれば、多くの得点パターンが望める。豊富な運動量が持ち味で「自分の売りは全力で走ること」と迷いがない。昨年愛媛でコンビを組んだ阪野との息の合ったプレーも見ものだ。今年27歳になる「90年会」はチーム内に6人もおり、まとめ役としても期待される。

 ▼FW中山 正真正銘の「ストライカー」だ。大産大時代には趣味のボウリングでパーフェクトを達成。ピン同様、ボールも正確に射抜く左利きのFWで、昨年は山口で故障に泣きながら29試合で11得点を挙げた。「点をとらなきゃ、サッカーをやっている意味がない。今季の目標は昨年以上の15得点」と豪語。185センチの瀬沼、181センチの阪野と形成する180センチ超え3トップが、得点力不足を解消する。

 ▼MF風間 近年の山形にはいなかった待望の司令塔型ボランチが、攻撃のタクトを握る。正確に長短のパスを蹴りこんでリズムをつくり、決定的なラストパスを供給する。積極的な飛び出しも得意としており、中盤で攻守に存在感を発揮する。5月7日には父八宏監督が率いる名古屋とホームで対戦が決まり、自身初の親子対決が実現する。「どの試合も一緒だけど、勝ちたい」と闘志を燃やす。

 ▼MF中村 苦労人からはい上がった。昨年は基本給のないアマ契約で群馬に入団。「人生長い中で1年間ぐらいどうにでもなる。挑戦したかった」。練習後の午後にスクールのコーチで生計を立てながら、5月にはボランチの定位置を確保。翌月からは念願のプロ契約を勝ち取り、大卒1年目で34試合に出場し4得点を挙げた。「自分にしかできない味を出す」と神出鬼没の動きで攻守両面に激しく顔を出す。

 ▼MF南 柔らかい天性のボールタッチは見る者を魅了する。チャンスメークに加え、得点にも絡む創造性豊かなMF。4バックのトップ下やサイドハーフ(SH)が本職ながら、山形では初の3バックの2列目(シャドー)に挑戦する。「SHより攻撃に重点を置ける。やっていて楽しい」。15年には東京Vで41試合10得点とポテンシャルは高い。「秀仁(しゅうと)」の名前通り、シュートを打ちまくる。

 ▼DF高橋 山形ユースから通算6人目の昇格を果たした。チーム唯一の山形出身ルーキーは、手堅い守備と積極的なコーチングが売りの成長株だ。県民の期待も大きく「未来のミスターモンテディオ候補」との呼び声もあるが「活躍したらサポーターが自然に呼んでくれる。自分で決めることではない」と前を向く。1年目の目標は「まずは公式戦に出ること。実力をつけないと話にならない」と冷静だ。

 ▼DF菅沼 センターバックとして屈強な体を誇り、1対1と空中戦には絶対的な自信を持つ。DF陣の統率役としても期待され、加入1年目から副主将を任された。昨年山形は49失点しているが「年間で30点前半から20点後半にまで失点を減らしたい」と頼もしい。合流前は昨年山形に在籍したFW大黒と自主トレをしており、仕上がりは万全。古巣京都と激突する26日の開幕戦で大黒を封じ込める。

 ▼DF加賀 秋田出身のイケメンセンターバックは、持ち味のスピードを生かして相手FWを封殺する。積極的にビルドアップへ参加し、時折攻め上がって放つ高精度のクロスは意外性も秘めている。出場機会を求めて、新天地に山形を選んだのは「秋田と同じ東北で親近感があったから」。33歳のベテランは「山形に来た以上は試合に出ないと意味がない。もう1回やれるんだというのを見せたい」と意気込む。

 ▼DF茂木 本職のセンターバックに加え、両ウイングバック、ボランチもこなす万能型。174センチながら空中戦も強く、正確なキックで攻撃の組み立て役も担う。またロングスローを得意としており「35メートルは余裕で飛びます」。浦和から昨季加入した愛媛では開幕スタメンを逃しており「今年は絶対開幕に出ます」。戦術理解力は高く、4人いる木山チルドレンの末っ子として、チーム内の橋渡し役になる。

 ▼GK児玉 守って、蹴っては当たり前。鉄壁のシュートストップに加え、フィールドプレーヤー並みのキック力を誇る。典型的な「面白い関西人」キャラで、笑いも取れる3拍子そろった新感覚GKだ。愛媛では2年連続で42試合フル出場し、1試合平均失点は1点以下をキープした。「それでもJ1に昇格できなかったので、今年は年間35失点以下が目標。与えられた場所で100%やるだけ」と強気だ。