取材後、久保が15歳5カ月1日でのJリーグ最年少デビューを果たした、16年11月5日の東京U-23対長野のJ3リーグ戦後に取材した、長野MF橋本英郎(現J2東京V)の感想を思い出した。

 橋本 体が出来上がっていない感じ。技術は、すごい高いものがあると思いますし2つ、3つ先を考えながらプレーしたと思いますけど、なかなか周りとのコンビネーションだったり…久保君のプレーをチームメートが分かっていたのかなという感じがありました。体を着けた状態でプレーすると、どうしても体格的な問題があると思う。

 橋本の言葉を借りれば、J各クラブから選手が集まった選抜の選手が、久保のプレーを分かっていなかったように見受けられた。久保は何度も要求しながらボールが来ないことに、失望感を見せる場面もあった。一方、年代が近く、試合で肌を合わせた選手も多いからか、東京U-23の試合時よりも伸び伸びと、より積極的にプレーしているように見えた。

 それらを久保本人に直接、取材できなかったことが残念だ。JリーグとFC東京が協議し、試合前々日の16日から当日まで取材規制すると報道陣には事前通告があった。その対応を過保護だと批判する報道もあれば15歳の選手への配慮は当然という報道もある。

 記者はこの日、どのような形であっても久保が肉声を発し、報道陣が取材する機会はあった方が良かったと考える。たとえゼロックススーパー杯の前座であっても、Jリーグの一員として、日産スタジアムという大舞台で1万4214人という観衆の前で戦った後、取材を受けるという経験が、果たして悪影響ばかり及ぼすだろうか? 

 この日、久保はスタッフに伴われ、1人だけ取材対応せず取材エリアを後にした。そのような“特別待遇”をするなら、せめて両軍の監督と選手1人ずつが出席した会見に、久保を出席させ、司会者の代表質問だけでも受けさせ、感想くらい本人の口から語らせても良かったのではないか? 

 久保自身、J3長野戦後の取材で「サッカー選手になった時は、やっぱり注目されなくなったら良くないなというのはある」と語るなどプロがどういうものか、しっかり把握している。自分の口で自分の考えをしっかり語る姿を、記者は見ている。だからこそ、久保のこの日の思いを直接、聞きたかった。【村上幸将】