鬼門を突破した。今季から木山隆之(たかし)監督(45)が指揮を執る新生J2モンテディオ山形が京都サンガFCを2-1で下し、09年以来8年ぶりの開幕戦白星を挙げた。前半35分、MF瀬川和樹(26)が左サイドから上げたアーリークロスを、中央に走り込んだFW瀬沼優司(26)が頭で合わせ先制。後半12分には、MF鈴木雄斗(23)が冷静にPKを決めて押し切った。J2が設立された99年以来、19年連続の敵地開催だった開幕戦を制し、3月4日の第2節アウェー千葉戦に弾みをつけた。

 新たな歴史の扉を、鬼門の開幕戦でこじ開けた。先発11人中9人を新戦力で固めた新生・山形が、木山新監督のタクトに合わせて躍動した。後半45分に失点し完封こそ逃したものの、昨季5位の京都を相手に攻守で違いを見せつけた。初陣で山形初白星を挙げた指揮官は「数年間勝ててなかった開幕戦をとれれば、何かが見えてくる。今やれるベストのプレーを出してくれた」と胸を張った。

 試合前のミーティングで“鬼門の開幕戦”とあおる作戦が奏功した。今季、愛媛から木山監督を追って加入した愛弟子が期待に応えた。前半35分、MF瀬川のクロスを、新加入のFW瀬沼が体を前に投げ出して頭でねじ込んだ。開幕前の練習試合では無得点に終わっていたが「全く心配してなかった。ボールが良かったから中で合わせるだけだった」と自信を見せた。続けて「この歴史をこのまま続けてはいけない。『覆していこう』と監督から言われていた。気持ちを込めて戦えた」。

 既存戦力の台頭もあった。キャンプから「横一線」を強調し、チーム内に競争原理を持ち込んだ成果が出た。左ウイングバック(WB)で起用した加入3年目のMF瀬川は、昨年のリーグ戦では出場時間わずか1分。木山監督は「左足のクロスにストロング(ポイント)がある。キャンプからずっと結果を出していた。開幕戦の左(WB)は彼がふさわしいと思った」と満足げに振り返った。

 新旧戦力がかみ合い、鬼門の開幕戦を突破した。木山監督は言葉に力を込めた。「今年は挑戦の始まり。結果的に勝てたので、いいスタートが切れた。今後もチームとしてまとまって戦っていく」。第3節の熊本戦(3月12日)まで続く敵地戦を勝ち続けて、同19日にホーム山形へ凱旋(がいせん)する。【高橋洋平】