新人のプロ1号が待望の白星をもたらした。アルビレックス新潟が2-0でヴァンフォーレ甲府を破り、今季初勝利を挙げた。前半11分、コーナーキック(CK)の流れから、DF原輝綺(18=市船橋)がダイビングヘッドで先制点。プロ入り初ゴールで勝利の流れをつくった。後半7分には、DF矢野貴章(33)が名古屋からの移籍後初得点でダメ押し。今季初めて先制点を奪い、初の無失点と攻守がかみ合い、初ものずくめで勝ち点3をつかんだ。

 待ちに待った勝利の瞬間が訪れた。その扉をこじ開けたのは、新潟の高卒ルーキー原だった。

 前半11分、左CKを逆サイドに走ったDF富沢清太郎(34)が頭で折り返す。ゴールマウス左隅付近に走り込んだ原は、「うまく折り返してくれたので、合わせるだけだった」と、ボールが地面に落ちる前に頭から飛び込んだ。「CKの練習で富沢さんがファー、僕がニアに抜ける形をやってきた」と、イメージ通りに決めたプロ初ゴール。先輩たちが頭をたたく手荒い祝福にも、自然と笑顔になった。

 開幕からリーグ戦6試合未勝利で迎えた一戦で、甲府を率いるのは、昨季シーズン途中で新潟監督を解任された吉田達磨監督(42)だった。また甲府は、07年第23節(1-0)を最後に勝利がない相手でもあった。

 ただルーキーに、そんな過去は関係ない。原は「毎試合が初めて対戦する相手」と、目の前の試合に全力を尽くす姿勢で臨んでいる。開幕時から続くスタメンの位置が、ボランチから左サイドバックに代わって2試合目。不慣れなはずだが堂々とボールを奪い、無失点に貢献。そして攻撃では得点と、チームに不可欠な存在になったことを示した。

 フレッシュな新人に、いぶし銀のベテランも続いた。DF矢野が後半7分、左CKを打点の高いヘディングでダイレクトに打ち込んだ。12年以来、5年ぶりに新潟に復帰し、これが移籍後初得点。新潟でのゴールは12年8月4日の柏戦以来、1716日ぶりだ。甲府戦には縁がある。06年、柏から新潟に移籍してきたときの初ゴールも第7節のアウェー甲府戦だった。

 三浦文丈監督(46)は「勝ってホッとした」と初勝利の感想を話した。これまで失点を重ねてきたCKで、2得点とやり返した。勢いがつく形で勝ち点3を奪った。「大きな1歩。これからがスタート」と、苦労して手にした白星を快進撃の始まりにする。