初出場のJ3アスルクラロ沼津は1-0でサウルコス福井を下し、天皇杯初勝利を挙げた。前半28分、左FKからDF河津良一(24)がヘディングで先制点。この1点を守りきり、2回戦(6月21日)進出を決めた。

 今季公式戦初出場の伏兵が値千金の1発をたたき込んだ。前半28分、左サイドのFKからゴール前に飛び込んだ河津が打点の高いヘディングで合わせた。「FKの場面は練習通りの形だった」。キッカーのMF前沢甲気(24)とは、2日前からセットプレーを入念に確認。前沢も「イメージ通りのボールだった」と満足げに振り返った。

 一方で課題も見えた。1点リードの後半はあわや失点の場面も招き、守備の時間が続いた。前沢は「守りの意識が強くなってズルズル下がってしまった」。相手は北信越社会人1部リーグに所属する格下だが、天皇杯出場は今年で9度目。14年シーズンに沼津を指揮した望月一仁監督(59)のもと、トーナメント方式の一発勝負に懸ける相手の気迫に押し込まれた。

 それでも、1点を守りきり、Jクラブとしての面目を保った。河津は、「攻められた中で守り切れたことは収穫」。天皇杯に「番狂わせ」は付きもので、この日もJ3秋田が国士舘大に敗れる波乱もあった。それだけに、吉田謙監督(47)も「粘り強く戦えた」と安堵(あんど)の表情を見せた。

 2回戦の相手はJ2京都。これからが真価の見せどころで、河津は「全国に沼津の名前を広げるチャンス。全力で勝ちにいきたい」と言葉に力を込めた。【神谷亮磨】