25分間のプレーを終え、久保の口から出たのは安堵(あんど)より反省だった。「決めなければいけない試合だった」。見せ場は39分。得意の左足のドリブルで中盤から加速した。「(DFが)きているのは見えていた。あそこで仕掛けなかったらFWじゃない」。ペナルティーエリア手前左角でFKを得た。ゴールまで約20メートル。MF高萩らに「蹴っていいよ」と背中を押され、キッカーを務めた。ボールを2度セットしなおす。「自分のリズムで蹴れなかった」とボールは左上にわずかにそれた。

 それでも44分には再びドリブルでDF4人を引きつけ、FWウタカへのパスで好機を演出。天才と呼ばれた元日本代表の札幌MF小野も「(自身の15歳の頃とは)比べものにならないくらいすごいと思う。ゴールをとりそうなオーラがある」と表現した。

 「スピード、ワンタッチのプレーも多かった。なかなかボールをとれなかった。スルーパスもあと2、3回(通せた)」と振り返った15歳。ただ初めてのJ1でも、ゴールに近づいたからこそ悔しさが募った。はっきりとした口調で話した。「今日で終わりではないので、またチャンスをもらえたら頑張る。同年代の選手よりは半歩くらい前にいると思うので、失速しないように」。また1つ挑戦の場を知った久保は、どこかうれしそうだった。【岡崎悠利】