ジュビロ磐田MF中村俊輔(39)特別インタビュー「今もシュン(旬)」の第3回は、「磐田へのワクワク感」を語る。加入2年目を迎え、チームの状況、目標順位、補強などに言及し、チームメートへの期待と希望を示している。

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 磐田は昨季、6位に躍進した。名波浩監督(45)は、就任5季目の今季、「トップ5」を目標に掲げている。中村は、どう解釈しているのか。

 「去年は6位の時間がすごく長かった。なかなか超えられなかったもう1つ上の順位。現実的にはしっかり足元を見つつ、『次はここをクリアしたい』というのが5位だと思う」

 その一方で、順位以上に名波監督のもとでの「積み重ね」を感じ、チームに大きな期待感を抱いている。

 「ジュビロ色というか、名波さんイズムみたいなものがまた濃くなることが大切。クラブのテーマ『繋(つな)ぐ』のようにね。それが未来につながるし、その道は名波さんがつくってくれている。プロである以上、上に行きたいのは当然。でも、たとえ5位以内に入れなかったとしても、このチームは大切なものを積み重ねられると思う」

 フロントも同じ意識を持っている。15日に行われた新体制発表会見で、服部年宏強化本部長(44)は「5、6人レギュラーを取ってチームの方向がどうなるか分からない状況にはせず、さらに良いものを積み上げる。そういう編成をしていこうということで始めた」と明かした。中村はその方針に共感している。

 「海外もそうだけど、お金を使って良い選手を補強することが、チームを強くする一番簡単なことかもしれない。でも、ジュビロは『自分たちのメンバーで、ジュビロのサッカーをしようよ』というチームだから、そこがすごくいい。『すごい外国人が来た』というワクワク感よりも、それ以上のワクワク感があるし、今までにも経験がない。誰がチームに入ってもジュビロとして成長できる環境だと思うし、『また楽しみだな』という気持ちが強い」

 自身にとっては、磐田2年目のシーズン。居場所を見つけるために、手探りだった時期は終えた。

 「役割は変わらないし、もっとプラスしていく。もう自分のプレーや連係の部分は分かってもらえていると思うし、要求が1段階も2段階も3段階も上からできる。例えば、川又(堅碁)は動きだしがギリギリで、今までは『遅いよ』で終わっちゃったけど、もう少し(パス出しを)我慢していればという反省もある。みんなの動きをまだ見切れていなかったシーンもあったし、いろんな人と去年できなかったことができると思っている」

 チームが始動した今月15日。大久保グラウンドには、笑顔で楽しそうな中村がいた。期待感にあふれたプロ22年目が始まった。【前田和哉】(終わり)