元ヴェルディ川崎(現J2東京ヴェルディ)GKで、4月に末期の胃がんで余命3カ月だと公表していた藤川孝幸さんが、15日に亡くなっていたことが20日、分かった。56歳だった。川崎市出身。

1992年(平4)に国士舘大からV川崎に入団し、現在、東京VでGM補佐兼ユース監督を務める永井秀樹氏(47)が20日深夜、ツイッターを更新し「改めて藤川さんへの心からの感謝とご冥福をお祈りします。合掌 ヴェルディファミリー 心は一つ」と、藤川さんの死を悼んだ。

永井氏にとってJリーグの前身・日本サッカーリーグの読売クラブの下部組織から80年にトップチームに昇格した藤川さんは、ピッチ内外において先輩だった。また藤川さんは、東京Vのコーポレートパートナーに名を連ねるリーフラスの常務取締役として、ビジネス面でクラブをサポートしていた。永井氏は「読売クラブ入団時より、ピッチ内外で大変お世話になった偉大な大先輩 藤川さん。ヴェルディ黄金期のメンバーでもあり誰よりも強いヴェルディ愛の持ち主。自分自身、新人時代藤川さんからヴェルディの心得、哲学を教えて頂いた」と藤川さんに感謝した。

永井氏と藤川さんは、互いを激励する試合に出場しあっていた。藤川さんは、16年に引退した永井さんの引退試合として17年8月14日に東京・味の素フィールド西が丘で開催された「OBRIGADO NAGAI」に出場。一方、永井氏も5月27日に東京・味の素スタジアムで行われた東京V-愛媛FC戦の前座として、全身9カ所に転移したがんと戦う藤川さんを励まそうと開催された「藤川孝幸激励マッチ」に出場しており、永井氏はツイッターに両試合の写真をアップした。

東京Vは2005年(平17)にJ2に降格し、07年にJ1に復帰したが翌08年には再び降格し、その後はJ2での戦いを続けている。スペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が2年目の指揮を執る今季は6位でリーグ戦を終え、J1参入プレーオフ圏内を死守。11年ぶりとなる悲願のJ1復帰をかけ、25日の1回戦では1年でのJ1復帰を目指す5位・大宮アルディージャとアウェーで対戦する。永井氏は、東京Vの現状を踏まえ「藤川さんの教えと魂を胸にヴェルディ再建に全力を尽くしたいと思います」(コメントは原文のまま)と誓った。