日本サッカー協会の規律委員会は19日、天皇杯4回戦(2日、名古屋グランパス戦、CSアセット港サッカー場)で、浦和サポーターが暴力や破壊行為に及んだ件で、浦和に対し、来年度の天皇杯の参加資格剥奪と、始末書提出のけん責処分を下した。Jクラブの天皇杯参加資格剥奪は初で、過去、最も厳しい厳罰となった。

日本協会が公表した規律委員会の決定には、今回の厳罰へとつながった浦和サポーターの度重なる行きすぎた行為の後に、起こした今回の行為を「集団的に暴徒化するという許されざる暴挙」とし、次のような記述がある。

 

これまでにも、対象者のサポーターが引き起こした問題行動による懲罰事案は、Jリーグ及び天皇杯を含めて2000年以降だけでも11件にも上る。サポーターの問題行動が起こるたびに、対象者が、再発防止に向け、様々な取組みを行ってきたことは一定程度評価するものの、残念ながら、そのような取組みにもかかわらず、対象者のサポーターによる問題行動は繰り返され、それらの問題行動は改善を見せるどころか、本件のような集団的に暴徒化するという許されざる暴挙にまで至っている。このような実態を直視すると、対象者による取組みは十分ではなかったといわざるを得ず、対象者にさらなる猛省と実効性のある再発防止策の策定及び実施を促すには、これまでと同様に罰金の処分を重ねたとしても、十分な効果は得られないと考えられる。

さらに、対象者のサポーターによる問題行動に係るJリーグによる直近の懲罰事案(2022年7月)においては、対象者は、罰金2000万円の懲罰を科されるとともに、「対象者が再びサポーターの行為に起因する懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性がある」と強い警告を受けていた。本件はこの警告にもかかわらず発生したものである。

以上を踏まえ、本件がトーナメント制を採用する天皇杯において行われたこと及び対象者が既に本年度の天皇杯を敗退していることを考慮し、当委員会は、対象者に対して、譴責(始末書の提出)に加えて、「2024年度天皇杯(天皇杯JFA第104回全日本サッカー選手権大会)の参加資格の剥奪」というこれまでに対象者に科した懲罰よりも重い懲罰を科すことが相当であると判断した(原文ママ)

 

参加資格剥奪と極めて重い処分となったその理由が、浦和のクラブとサポーターによる自浄作用のなさなどにあるとしている。