「長年の夢が現実になりつつある」。ヤマザキナビスコ杯決勝(11月1日・国立競技場)に駒を進めたJ1大分のシャムスカ監督は、クラブ史上初のタイトル獲得に意欲を見せている。

 昨季は降格争いをしていたチームが今季は躍進し、リーグ戦でも優勝争い。シーズン前に「リーグ戦で6、7位」とクラブが掲げた目標は、今や「ナビスコ杯とリーグ戦の2冠」に変わった。

 快進撃の要因は第30節を終えた時点でリーグ最少の23失点を誇る守備陣の安定にある。北京五輪代表の森重を中央に、1対1に強い深谷と上本で3バックを形成。さらに運動量豊富なブラジル人のダブルボランチに加え、両サイドのMFも守備に参加する。昨季終盤から継続してきた戦術が浸透し、堅守が完成した。

 今季途中から加入した森島は、クラブの雰囲気を「すごく家族的」と表現する。練習中も選手1人1人に声を掛け、フロントともコミュニケーションを大事にする指揮官の下で、クラブは結束している。森重が「自分たちの力を出せば、結果はついてくる」と自信を見せれば、監督も「タイトルは両方とも狙う」。大分県リーグからスタートしたクラブが今、栄冠をつかもうとしている。(共同)