コンサドーレ札幌が「突貫工事」でクライトン布陣を完成させる。開幕鹿島戦の0-4惨敗から一夜明けた9日、三浦俊也監督(44)が開幕直前にチームに加わったMFクライトン(30)の「定位置」探しに着手した。昨季王者との試合でJ1で通用するパフォーマンスを発揮したことから、今季チームの軸とすることを決断。本職のボランチだけでなく攻撃的MF、FWもこなせることから、15日横浜戦から23日ナビスコ杯川崎F戦までの3試合をメドに、新たな布陣を確立させる。

 鹿島戦の屈辱的な惨敗から一夜明けたこの日、三浦監督は練習後、MFクライトンの起用法について言及した。「中盤かFWかサイドか。チームのバランスを考えて。先発ではいける」。クライトンを最も生かせる定位置探し-。ユーティリティー性を持つ新外国人を軸とした新しいシステムの完成へ、急いで動くことになる。

 クライトンの本職はボランチだが、チーム合流3日目で迎えた鹿島戦は決定力を買われてFWで途中出場した。名古屋所属時にボランチのほかFW、トップ下や攻撃的MFも務めていたが、鹿島戦も1対1で負けず、中盤、前線でボールをキープし、タメもつくった。「キープ力と時間をつくれるのは分かった」と見極めた三上強化部長は「ポジションはメンバーとやっていきながら。現実的に、そう(クライトンが最もフィットするポジション)なる」と今後の見通しを説明する。

 オフ明けの11日の練習から「突貫工事」がスタート。ボランチ、両サイドハーフ、FWと試し、それぞれチームメートとの相性も探っていく。離脱中のFWノナト、DF曽田、MF西谷らの回復具合にも左右されそうで、場合によっては、1トップや3トップ、トップ下にシャドーストライカーを置くなど、昨季から続ける4-4-2以外のシステムに変更する可能性さえある。

 ただし、試行錯誤する期限については「ナビスコの2試合が終わるまでには」(三上強化部長)と設定した。15日のホーム開幕横浜戦から20日と23日のナビスコ杯2試合の“テスト”で方向性を出す。大きな期待がかかる当のクライトンは、この日の練習後、札幌市内で行われたイベントに参加。「勝ちたいと思っている選手が多い。次のホームで勝てるよう、最大限の力を発揮したい」と前を向いた。鹿島戦0-4大敗で第1節最下位発進となった札幌、あとは上がっていくだけだ。【長島一浩】