<J1:柏2-0磐田>◇第1節◇9日◇柏

 J1磐田が、アウェーで柏に0-2で完敗した。前半10分に、相手のリスタートから1本のパスで失点するとリズムが狂った。後半15分にはFWジウシーニョ(23)が2枚目の警告で退場。数的不利に陥り、立て直すことができなかった。放ったシュートも柏の半分の6本だけ。昨季の開幕戦で大敗(0-4)した宿敵にリベンジできず、3年ぶりの開幕戦勝利はならなかった。次節G大阪戦(15日、エコパ)へ修正を図る。

 昨季の悪夢を、磐田は振り払うことができなかった。決定的なピンチを何度も許し、打開の糸口が見つからない。MF駒野が、DF加賀が、試合終了の笛と同時にうなだれた。シュート数は柏の12本に対して6本だけ。内山監督は「立ち上がりを何とかしのいでいたが、集中力を欠いて失点した。後半に修正しようとしたが、退場者が出たことが痛かった」と下を向いた。

 最初はわずかなすきだった。前半10分。中盤右での相手FKに一瞬、集中力が切れた。間隙(かんげき)を縫うようにDFの背後にボールを送られ、太田吉彰の兄圭輔に決められた。その傷口は、時間を経るごとに広がる。立て直そうとした後半15分に、ジウシーニョが相手をつかみ退場。MF河村は「いい形ができずにいた中、1人退場して苦しい状況になってしまった」。37分にポポにミドル弾を許し、FW中山らを投入した時は遅かった。

 悪夢を繰り返さない自信はあった。準備不足だった昨季と違い、常勝時代の攻撃サッカーを取り戻すため鹿児島キャンプから入念に鍛えた。だが、頼みだった駒野、村井の両翼はパスコースを消された。村井は「クロスを1本も上げていない。勝負に行くこともできなかった」とうなだれ、GK川口は「いい準備をしたからと言って、必ずしもいい結果が得られるとは限らない」と唇をかんだ。

 ただ、まだ1試合が終わっただけ。試合後に選手を励ましていた名波は以前に「夏までに『これがジュビロのサッカー』というのをつくっていきたい」と、焦りを禁じてきた。ジウシーニョの出場停止で、次節の先発が濃厚な中山も「士気を落とさずに鍛えていきたい」と味方を鼓舞。この日の敗戦を、常勝復活への糧にしていく。【今村健人】