<J1:磐田3-0G大阪>◇第2節◇15日◇エコパ

 J1磐田がG大阪に3-0で快勝し、地元開幕戦を白星で飾った。前半8分にFKから今季新加入のFW万代(ばんだい)宏樹(22)がJ1初ゴールを挙げて先制。FWに入った西紀寛(27)、中山雅史(40)も加点し、FW登録3人が全員決めた。守りでも体を張り、相手の強力攻撃陣を完封した。

 サポーターの歓喜が、いつまでも鳴りやまなかった。GK川口や、DF田中、茶野、加賀が身をていしてシュートを防ぎ、万代や西、中山の攻撃陣が結果で応えた。MF陣もバランスを保ち、全員でつかんだ初勝利。中山は「この勝利は大きい。勝てないと不信感も不安も生まれるから」と全員の声を代弁し、喜んだ。

 1つの怒鳴り声が、流れを変えた。前半4分。西が倒されて得た右FKで、MF上田が蹴ったボールは全員の頭上を越えた。そのキックに西が怒った。「(ゴールの)枠を外していたから『枠を狙って蹴れ』と言った。(上田)康太なら蹴れるキックを持っているんだけど、性格が出ていた」。

 同8分に、ほぼ同位置で得たFK。これに万代が感じた。「西クンに怒られたことで、どうにかしてでもニアに来ると思った」。狙い通りに来たボールをバックヘッド。移籍後初、自身J1初ゴールは、流れを引き寄せる先制弾となり、さらに同27分には中盤から西へロングパスを供給。PKを誘発するプレーにつなげて「無得点に終わる試合があってはいけないのに、柏戦は内容も結果も最悪。でも気持ちを切り替えて臨めた」と借りを返した。

 全員が、柏戦の屈辱を胸に秘めて戦った。同試合で最初の失点につながるプレーをした茶野は「名誉挽回(ばんかい)の気持ちでプレーした」と、FWバレーのシュートを体で防いだ。ブレ球を決められていた川口も1対1を2度も防いだ。ただ、慢心はない。加賀は「たまたましのげたけど、やられているんだからOKにしてはいけない」と気を引き締めた。復活への道に、最初の1歩を刻んだ。【今村健人】