2月末に右ひざ半月板の内視鏡手術を受けてリハビリ中のJ1磐田FW前田遼一(26)が、約1カ月ぶりに磐田に戻ってきた。都内でのリハビリを終えて3月31日、磐田・大久保グラウンドで本格的にリハビリを開始した。すでにジョギングやステップ運動などは行っており、回復具合は順調。頼れるエースは、早ければ4月下旬にも復帰できる見込みだ。

 声は、心なしかはずんでいた。表情には穏やかな笑みが浮かんでいた。2月29日に右ひざ半月板の内視鏡手術を受けてから、約1カ月。都内でのリハビリ生活を終えた前田が、磐田に戻ってきた。それと同時に右足首と右ひざ痛で別調整したMF西には「疫病神だよ」と独特の冗談で歓迎された。「(右ひざは)悪くないです。今のところ痛みもない。僕は(東京でリハビリするより)こっちの方が合っています」と、懐かしい空気を吸い込んだ。

 じっと耐えてきた。「先のことをみないで、焦らないでやってきた」。手術後は磐田に帰らず、試合も開幕柏戦(柏)やナビスコ杯東京V戦(味スタ)に顔を見せただけ。都内で大分のMF家長らと一緒に、体幹や下半身を中心とした基礎体力強化に黙々と励んだ。

 そして、磐田・大久保グラウンドでの初日となったこの日。午前のリハビリでは、ジョギングに加えて、ステップなど俊敏性を求める動きもこなせた。02、07年に続く3度目の半月板手術。昨季は3月9日に手術すると、5月27日の新潟戦まで2カ月半、12試合も費やした。だが、今季は違う。「4月の最後の方の試合に絡めたらいいかな」と復帰時期の目標を掲げた。

 チームは離れても、テレビでできるだけ試合を見てきた。1勝2敗にも「チャンスもあるし、そんなに悪くない」と悲観はない。そんな頼れるエースに、内山監督も「いい感じになってきたんじゃないですか」とほおが緩んだ。昨季は復帰後に得点を重ねて12得点。「出来過ぎと思うけど、それを目指して頑張ります」。前田の存在が、チームを後押しする。【今村健人】