<J2:鳥栖3-0水戸>◇第11節◇3日◇ベアスタ

 鳥栖MF高橋義希(22)らが今季最多の3得点を挙げて快勝し、4位に再浮上した。退場で1人少なくなった水戸の守りを、高橋の約40メートル無回転シュートなど、3発のミドル弾で崩した。福岡は湘南に0-4、熊本は横浜FCに0-5で大敗した。

 美しいミドル弾3発で、鳥栖が前節(仙台に0-3)の完敗ショックを断ち切った。先制は高橋だ。後半21分、ゴール正面約40メートルの位置で、DF高地系治(28)からパスを受けると右足を力強く振り抜いた。「2年間の練習の成果が出た」と自画自賛の無回転シュートは一瞬、左にぶれた後に軌道を変え、右ポストに当たってネットを揺らした。

 主将の完ぺきな今季初ゴールは、J通算257試合出場の相手GK本間幸司(31)に「あんなシュートは初めて」と1歩も動けないショックを与え、チームを波に乗せた。40分には高地がゴールやや左、約25メートルの距離から直接FKで2点目をゲット。3分後には今季初出場のMF石田博行(28)が、プロ11年目のJ初得点を、約30メートルのミドル弾で決めた。守備でも数的優位を生かし、8試合ぶりに完封勝利をつかんだ。

 岸野靖之監督(49)は「失点しない、勝ち点3を取るという点で、よく頑張った」と及第点を与えた。監督会見で笑顔をのぞかせたのは、石田や、高校以来の左サイドで今季初先発した鉄戸裕史(25)らの活躍に触れた時だった。「出ていない選手は気の持ち方が難しいが、成長を見せてくれた」。昇格圏に再び近づく1勝は、チーム全体の進歩を証明する白星になった。【佐藤千晶】