<J1:東京V1-1浦和>◇第23節◇27日◇国立

 拍手とブーイングが入り交じった。0-1で迎えたロスタイム。MF相馬の左クロスにMF阿部が頭で合わせ、同点に追いついた。劇的ドローも、スタンドのサポーターは複雑だった。わずか4日で首位陥落。前節磐田戦(23日)で約1カ月ぶりに首位再浮上したばかり。古巣を相手にアシストした相馬は「毎度毎度思うけど、厳しいですね」と、優勢に立ちながら勝ちきれなかったことを悔しがった。

 大胆策が裏目に出た。後半開始と同時に2トップを入れ替えた。ハーフタイムを終えて2トップをそっくり入れ替えたのは今季初。田中達、高原に代えて、エジミウソンと永井を投入した。エンゲルス監督は「重い展開だったから、フレッシュな選手を入れて刺激を与えたかった」と説明。ただ普段、後半頭から投入する場合、前半30分過ぎには交代選手に声をかける。この日はハーフタイム直前だった。ドタバタ交代劇の影響からか、チームが落ち着く前にカウンターから先制点を許した。

 残り15分を切ると、指揮官は奇策に出た。右太もも裏肉離れから2戦ぶりに復帰したDF闘莉王を、今季初めて完全なFWとして2トップの一角に上げた。現在得点ランク日本人トップの得点力を期待し、パワープレーに出たが不発。闘莉王は「早い段階で点が取れれば試合の流れは変わってくるんだけど。んー難しい」と、嘆いた。

 暑さの厳しい8月を2勝2分けと負けなしで終えたが、今季3度目の首位陥落。9月には連覇のかかるACLも始まり、一層日程が厳しくなる。今週末は3連休でじっくり休み、次節大分戦までの2週間で、態勢を立て直す。【栗田成芳】