J2山形の小林伸二監督(48)が6日、終盤戦のキーマンにDF石川竜也(28)を指名した。今季残り11試合は、J1昇格をかけた厳しい戦いが予想され、セットプレーは貴重な得点源になるはず。ここまで石川は、J2今季最多の13アシストを稼ぎ、そのうちFKとCKによるものが6本。J1自動昇格圏の2位を守るためにも、石川が起点のセットプレーで勝負の秋を乗り切る。

 最高気温が32度に達したこの日の山形地方。石川は蒸し暑さに顔をゆがめながらも、セットプレーの練習で正確なボールを供給した。「(シーズンの終盤は)どのチームも対策を練ってくる。苦しい試合になると思うけど、1つ1つ勝っていきたい」。草津戦に向けて、気合を入れ直した。

 2位の座を楽に守れるほど、J2は甘くない。今後の11試合は、J1昇格の可能性を残したチームが全力でぶつかってくる。ディフェンスも堅くなり、流れの中からのゴールも難しくなる。そんな時、頼りになるのがセットプレーだ。小林監督は「リスタートの半分は石川が蹴っている。練習の積み重ねがあるので、効果が出てくるはず」と石川の精度の高さに期待した。

 石川は今季、レンタル元のJ1鹿島でのプレー経験も買われ、副主将を任された。得点した選手にいち早く駆け寄り祝福するなど、チーム一丸の雰囲気づくりをしている。個人成績でもアシスト数を昨季の「7」から倍増させた。「10個以上のアシストという目標をクリアできた。僕が出したボールを決めてくれるし蹴る回数も増えた」と石川。今季、鹿島からの復帰オファーを断ったレフティーが、節目のJ2参入10年目を戦うクラブを、悲願達成に導く。【柴田寛人】