W杯アジア最終予選でチームを離れていた日本代表の清水DF高木和道(27)が帰国した8日、チームに合流した。7日の準決勝G大阪戦先発メンバーはクールダウンのみだったが、高木和はほかの選手とミニゲームなどのフルメニューで汗を流した。アウェーの地で苦しみながら勝利した日本代表での経験を、13日札幌戦(日本平)から始まるリーグ戦と、ナビスコ杯決勝(11月1日、国立)に生かす。

 元気な声が、ピッチに響き渡った。この日午前5時にバーレーンから帰国したばかりの高木和が、その約11時間後、時折笑みを浮かべながらフルメニューをこなした。6時間の時差ぼけは残る。それでも「向こうは36~37度ぐらい。こっちは涼しいです」と、さわやかな表情を浮かべた。

 W杯出場権を懸けた最終予選。出場機会はなかったが得たものは大きかった。バーレーンに3―0でリード、相手は退場者が出て10人の状況で、立て続けに失点した。「ベンチで見ていて怖かった。1失点であんなにも流れが変わるのか、と。10人でああいうことも起こり得る。サッカーの難しさがあらためて分かりました」。観客席から中身の入ったペットボトルも飛んできた。「最終予選の雰囲気を味わえた。それだけでも大きい」。国の威信をかけた戦いで、サッカーの難しさと怖さを肌で感じてきた。

 その間に、チームは12年ぶりのナビスコ杯決勝進出を決めた。帰りの飛行機内で代表スタッフに知らされた高木和は「タイトルを取れるチャンスやし、うれしかったですよ。そのせいで(興奮して)寝られなかったのかな」と笑った。

 決勝の前にはリーグ戦が控える。札幌戦に向け「いい流れで来ているし、明日(9日)は休んで明後日からしっかり準備したい。次の相手は絶対に勝たないとアカン」と力を込めた高木和。若手とベテランが融合して結果を出したチームに、代表で貴重な経験を積んできた主将が合流。リーグ戦は14位と状況は厳しいが、反攻への準備は整い始めている。【浜本卓也】