地元の願い、愛媛まで届け-。山形のJ1昇格がかかった30日のアウェー愛媛戦(ニンスタ)のパブリックビューイング(PV)が、クラブ史上初めて県内3カ所で実施される。本拠地のある天童市に鶴岡市、米沢市を加えた3都市で計1300人が生中継を観戦。一方で200人超のサポーターが夜行バスなどで現地に乗り込み、昇格の瞬間を見届ける。

 PVは(1)天童わくわくランド多目的広場(約700人参加予定)(2)鶴岡Sモール光の広場(同100人)(3)米沢市・三沢東部小体育館(同500人)の3会場で行われる。県内の複数都市でPVを同時開催するのはクラブ創設25年目で初めて。選手と県内サポーターが悲願達成の瞬間を共有するため、山形を運営するスポーツ山形21が企画した。

 わくわくランドでは、9日にも徳島戦のPVを行った。その時は約300人の来場予定に対し、倍以上の700人が参加したため今回も同数を見込む。昇格が決定した場合、祝賀会も予定される。試合当日、本拠地NDスタは県長距離記録会のため利用できないが、クラブ側は「集客力を高めるため、あえて街中でPVを実施する」と別の狙いも明かす。鶴岡Sモールは定員100人だが、ショッピングセンターの中にあるため、多数の利用客の目に留まる。応援熱を高めると同時にクラブをPRする。

 一方で愛媛に向かうファンも多い。サポーターズクラブ「クラージュ」の藤倉晶代表(33)は応援仲間とバスを貸し切って28日夜に出発。ニンスタがある松山市までの行程約1200キロを15時間かけて移動する。山交観光が企画した0泊3日の観光ツアーには110人が参加。このほか庄内空港からの飛行機ツアーもあり、200人を超える人が駆け付ける予定だ。藤倉氏が「例年の愛媛戦なら20人くらいなのに」と驚く一戦。県内外の大規模応援が、山形イレブンの背中を押す。【木下淳】