苦い経験は、もう繰り返さない。J2仙台MF梁勇基(26)が5日、6日の今季リーグ最終戦に勝って、入れ替え戦切符を入手すると誓った。右足内転筋痛に苦しんだが、主将として戦列を離れずチームをけん引。2年連続リーグ戦全試合出場がかかる今日の草津戦で、サポーターの声援を力に必勝を期す。今季同様、3位で迎えた05年の最終節で、まさかのドローで4位転落を経験。選手の意思統一を図り、今度こそ入れ替え戦にコマを進める。

 リーグ最終戦への調整を終えた梁は、淡々とした口調ながらも、昇格にかける熱い思いを語った。

 梁

 ほんと(草津に)勝つだけですね。今いるこのメンバーで、長くサッカーをしたい。(戦力外通告を受けた)残念な選手の分も、ピッチに立つみんながやらないと。勝てば、あと2試合やれる。

 手倉森監督から指名され、今季キャプテンを任された梁。「このメンバーで昇格をしたい」と語気を強めた。この日は全体練習終了後に、MF佐藤と居残り練習。一時は内転筋痛で、練習でプレースキックを回避したこともあったが、この日はCKの感触を最後まで確かめた。お互いの意地がぶつかる最終戦は、少ないチャンスをものにしたチームが勝つ-。そんな思いでボールを蹴り続けた。「セットプレーで決まる可能性もある。質が急によくなるわけではないけど、確かめたかった」。

 05年の最終節、アウェーの福岡戦にドローで入れ替え戦切符を逃した。勝ち点1差で追っていた4位甲府が勝ち、逆転された。

 梁

 あの時は、勝ちにいくのか、引き分けにいくのかはっきりしていなかった。今回は勝つしかない。ホームでたくさんのサポーターが入る。それを力に変えて、強気でいく。

 2年連続リーグ戦全試合出場を、シーズン前に目標に掲げた。その目標は達成されそうだが「個人のことは関係ない」と、今は昇格しか頭にない。「頑張りまーす」。梁はにこやかに練習場を後にした。【山崎安昭】