札幌が、「石崎らしさ」全開で始動した。コンサドーレ札幌は19日、札幌ドームで身体能力測定を実施した。並行して、石崎信弘監督(50)が初めて指導し、ボールを使ってのトレーニングも行われた。「厳しい」という前評判通り、初日から休憩はほとんどなく、罰ゲームもふんだんに交える内容に選手はダウン気味だったが、これはあくまで序章。新指揮官は、21日からのグアムキャンプで、さらなるハードメニューを課すことを明言した。

 石崎監督の声が、3時間半にわたり札幌ドーム内に響き続けた。乳酸値などを測る能力測定と並行して行われた新指揮官の指導は、初日から激しかった。

 ペアになってのリフティングやパスなど内容は単純だが、必ず腕立て伏せや腹筋など「罰」がつく。水分補給の時間こそ与えられるが、休む時間はほとんどなし。疲労のあまり、罰を繰り返す羽目になったFW中山は「メチャクチャきつかったです」と漏らした。ハードな練習を課すという前評判にたがわない、動きっぱなしのメニューにも、石崎監督は「まだまだ。30分しかやってないんだから。あんなの正確にできればすぐに終われるんだから」と当然とばかりに言った。

 ただ人間性にも定評のあるベテラン監督の指導は、決してきついだけではない。選手への指示は命令口調ではなく実にソフト。表情も穏やかで笑顔が多い。そして何より元気。自ら大声を出し、罰も手本を示しながら、明るいムードをつくっていく。新加入のDF趙は「顔は怖いけど楽しくやってもらえるから。明るい監督でやりやすい」と早くもひかれている。

 18日に選手と初対面した際には「おとなしい」と選手を評したが、初練習を終え印象も変わった。「仕上がりはひどいけど元気があったから。あれで元気もなかったらどうしようかと思ったけどね」と気持ちの面からは、1年を戦っていける手応えを感じ取った。

 その自信を確信にするため、グアムでは石崎流をたたき込む。「コンディションはデータ的にも良くない感じだから。まず体をしっかりつくらないとね」とハードメニューを課す構えでいる。午前のトレーニングを一任されている石栗フィジカルコーチは「現時点で全体的に物足りない。トレーニングのしがいがあります」と続けた。初日はまだ序の口。「命題」のJ1復帰へ、石崎札幌は徹底的に走り続ける。【砂田秀人】