真価を問われるシーズンで、モンテディオの若武者が「10発宣言」だ。27日に、1次キャンプの地、長崎・雲仙市に移動するJ1山形FW長谷川悠(21)が、リーグ戦での2ケタ得点をノルマに課した。昨季チームトップの13得点を挙げ、一気にブレークした印象が強いが、長谷川は「今年が勝負」と浮ついた様子はない。キャンプで自らを追い込み、J1定着を目指すチームの大黒柱になるつもりだ。

 J1という未知の舞台を前にしても、長谷川に気負いはまったくない。若きストライカーは「チームと一緒に、自分も成長できればいいです」と、人ごとのように話す。昨季は北京五輪代表FW豊田(現京都)より2点多い、13ゴールをマークした。長谷川への周囲の期待は、明らかに昨年以上。だが長谷川自身は、そんなプレッシャーを楽しんでいるようだ。

 ただでさえJ1初挑戦の重圧はあるはず。しかも余計にプレッシャーをかけまいと「ノルマ」を公言したがらない選手が多い中、長谷川は「2ケタ(得点)を狙います」と言い放った。24日のファンクラブイベントでも、約1400人の観客を前に堂々と宣言。昨季のJ1得点ランクと照らし合わせると、10点以上のプレーヤーは外国人選手と日本代表クラスが名を連ねる。かなり高いハードルだ。

 高い目標をわざわざ掲げた、長谷川なりの理由が実はある。07シーズンまで無得点だったが、昨季開始前に「目標10得点」を公言したら、本当に達成した。「今年も同じ目標を言ったのは、験担ぎの意味もあります。自信があるわけじゃないですけど、高いところを目指した方がいいでしょ」。長谷川は笑顔を絶やさず持論を展開した。

 自ら「かなり難しい目標」といいながらも、長谷川の得点数が増えれば、チームも勢いづくはずだ。「チームがJ1に定着するためには、自分も頑張らないといけない。厳しい舞台で戦い続けるための体づくりをしてきます」と長谷川。記念すべきJ1山形の初ゴールを決めるため、長谷川がキャンプでスケールアップを図る。【山崎安昭】