J2仙台が鹿児島キャンプ8日目の3日、今季初めてシュート練習を行った。両サイドのクロスをFWがフィニッシュに持ち込む形を約30分間かけて確認。その中で存在感を発揮したのが、平瀬智行(31)だ。正確なシュート技術を披露して、手倉森誠監督(41)から「今日は平瀬が1番」と評価された。昨季自己最多タイ11得点を挙げたが「去年以上に点を取れたらいい」と記録更新を狙う。

 大雨でぬかるむグラウンドでも、平瀬は躍動した。中盤からサイドにボールが回り、そこから上がるセンタリングを中央で待って豪快にゴールネットを揺らした。体力づくり中心だった前日までの午前練習から一転、初のシュート練習にも柔軟に対応し「水たまりには苦戦したけど、いいボールが上がってくれば決められる」と振り返った。手倉森監督も「FWの競争が始まったね。中でも平瀬が1番」と満足顔だ。

 昨年は、股(こ)関節周辺が痛むグロインペイン症候群に悩まされ、キャンプ開始から約1カ月間は別調整だった。しかし、今年はオフに患部周辺の筋力を鍛えて克服。キャンプ初日から全メニューをこなす。平瀬は「今年は最初からでしんどいけど、みんなと一緒だから楽しいし頑張れる。順調ですよ」と言った。

 地元の鹿児島県でキャンプを張るのは、鹿島時代の99年に続き2度目。今回のキャンプ中も、平瀬は地元テレビ局の取材を受けた。地元局の関係者は「平瀬君の現状は、今も県内のニーズはある」と話す。鹿児島実3年の95年度に全国高校サッカー選手権を制した男は、今も地元に愛されている。

 昨季は自己最多タイ11得点を挙げた。今季は「去年以上に得点が取れたらいいっすね。泥くさく、目ざとくゴールを狙いたい」と宣言した。昨季終盤は負傷に苦しんだが、シーズン通して戦える鉄の体を1次キャンプでつくるつもりだ。

 先月31日には、母校の鹿実が県新人大会で3年ぶり23回目の優勝を決めた。後輩の活躍にも刺激されたストライカーが、地元で順調なスタートを切った。【木下淳】