J2仙台の新外国人FWマルセロ・ソアレス(26)が、存在感を増してきた。宮崎・延岡キャンプ2日目の8日、攻守に分けた2対2の対人練習で正確なシュート技術を披露。先月21日の来日から約3週間しか経過していないが、MF梁勇基(27)と組んだ2本ともゴールに結び付けるなど、連係プレーで勘の良さを発揮。その裏には、仙台の昨季ゴールシーンを編集したDVDを宿舎で見て、チームの特徴をつかむ努力があった。

 「パッサ!(パスをくれ)」。ポルトガル語を叫んでゴール前に走り込むソアレスに、絶妙のパスが出る。コンビを組んだMF梁から球を受けやすいように、外に広がりGKの脇を冷静に通した。2本目も梁とのワンツーでDFの裏に抜け出し、軽々とゴールネットを揺らした。「いいタイミングでボールが来た。今日は連係を試してみた」とソアレス。体力づくり中心のキャンプ序盤はおとなしかった男は、シュート練習が始まると本能をむき出しにした。

 チームに合流して間もないが、上々の溶け込みぶりだ。今キャンプでは「スカパー!」が編集したDVDを宿舎で観賞。昨季の仙台のゴールシーンをまとめたもので「クロスやスルーパスのタイミングなど学ぶことは多い」とソアレス。MF梁も「DVD鑑賞?

 それが良い形になってくれれば。ゲームじゃないんで分からないけど、シュートが正確でゴール前は期待できそう」と好感触だ。FW平瀬も「特徴をつかむのに効果があると思うよ」と助っ人の取り組みをほめた。

 18人きょうだいの17人目で生まれ、貧しい家計を助けるために10代から工事現場で働いた。その仲間内で楽しんでいたフットサルで関係者の目に留まり、16歳でプロ入り。昨年はブラジル2部ポンチプレッタで36試合18ゴールを決めた。

 手倉森監督が「ゴール前の仕事が好きな、根っからのセンターFW」と評す男は特技を問われると「点を取ること」とキッパリ。ちょうど1カ月後、3月8日の開幕戦(アウェー札幌)に向け「自分のベストを出し続けてコンディションを高めていく」と約束した。【木下淳】