ダニルソン警報、歓迎します。コンサドーレ札幌のMFダニルソン(22)株が、各クラブで急上昇している。2月22日のプレシーズンマッチ東京戦で挙げた2得点から「要注意」と警戒。開幕戦の仙台、第3節で当たる甲府など、他チームがそろって情報収集を進めている。徹底した「ダニルソン封じ」が予想されるが、それはむしろ好都合。マークが集中する分、MFクライトン、MF上里らはスペースを生かせると攻撃力アップに自信をみせた。

 東京戦で見せたダニルソンの弾丸シュート2発が、J2各クラブを慌てさせている。開幕戦で対戦する仙台の手倉森監督は「キックが強烈でシュートレンジが長いと聞いている。彼が前に出てくると自陣でしっかり守備をしなければならなくなる」と警戒。即座にスタッフにビデオ入手を厳命するなど「札幌=ダニルソン」と対策に乗り出している。

 札幌と同時期にグアムでキャンプを張っていた甲府も、札幌攻略のカギはダニルソンと分析している。「(元浦和の)エメルソンみたいに速いと聞いて、すぐに見に行った。1対1が強い」と堀井強化担当。他クラブにとって、謎の存在だったコロンビア人ボランチが、あっという間に「標的」とされてしまった。

 続々と敷かれる「ダニルソン包囲網」。ただその意識が高まるほど、札幌には優位に働く。ボランチでコンビを組む上里は「ダニ(ルソン)がマークされれば自分が自由になる時間が増える」と話す。プレッシャーが少なくなれば、サイドへの配球も精度を増し、より得点チャンスがふくらむ。警戒されるダニルソン砲をおとりに、こちらも正確さでは劣らない、左足で強烈なシュートを打てる。

 攻撃の核クライトンも歓迎する。昨季は常に厳しいマークを受けてきたが、ダニルソンが敵を引きつけられればそれも緩和される。「ボールを多く触れることができる。マークが離れるし都合がいい」とクライトンは言う。絶対的司令塔がフリーになる場面が増えれば、決定機は確実に増す。

 昨季はクライトンとダビが封じられると攻撃力が極端に落ちたが、今季はダニルソンだけでなく、出足の速いキリノも加わった。敵の抑えどころを分散させられる今季、得点力アップが期待できる。【永野高輔】