<J2:仙台1-0鳥栖>◇第3節◇21日◇宮城ス

 宮スタの勝利の女神が、2533日もの時を経てベガルタに振り向いた。昇格を争う鳥栖を1-0で振り切り、過去7戦して白星のなかった鬼門を突破。前半15分にDFエリゼウ(29)がCKから挙げた決勝点を守り切り、開幕から3試合連続完封のJ2タイ記録も達成した。いまだ無敗の新生ベガルタが、新たな歴史の1ページを刻み込んだ。

 「負のジンクス」によって解体までささやかれた宮スタが、初めて歓喜に包まれた。ブーイングの歴史しか知らないスタンドが、波打つような「仙台」コールで勝利をたたえる。終盤は我慢の展開も「今までジンクスを破れなかったことを考えれば1-0でも十分かな」と手倉森監督。02年4月14日の初戦(対浦和)から2533日。待望の白星の味は格別だった。

 勝利の立役者はDFエリゼウだった。前半15分、MF梁の右CKに反応。相手マークを外し、千金弾をたたき込んだ。前日のセットプレー練習で繰り返した、梁とサインをかわし事前に飛び込む位置を決めての一撃だ。スタンド観戦したパオラ夫人(30)と長男ハフィー君(4)の前で「僕は家族のために強くなる。勇気が出るんだ」と胸を張った。本職の守備でも存在感を発揮し、開幕3試合連続完封に貢献した。

 開幕3戦を2勝1分けで滑り出した。宮スタで今季残り10試合あるが、MF梁主将は「ホームのアドバンテージを生かして、また勝ちたい」と言った。「宮スタののろい」に終止符を打った今、ベガルタに残ったデータは、昨季ホームでわずか3敗(10勝)の好記録。宮スタを「勝利の聖地」に変える。【木下淳】