<J2:福岡0-0札幌>◇第12節◇2日◇レベスタ

 コンサドーレ札幌はアウェーで福岡に0-0で引き分けた。後半21分にMFダニルソン(22)が、福岡MF中払を突いたと判定され、まさかの一発退場。数的不利での戦いを余儀なくされたが、チーム一丸で福岡の攻撃をしのぎ、ゴールを死守した。4月15日の第8節草津戦から続いていた連勝は4試合でストップしたものの、貴重な勝ち点1を拾った。

 札幌がまたも10人で死闘を乗り越えた。福岡の猛攻をしのいでのスコアレスドロー。静まりかえる敵地レベルファイブスタジアムの片隅で、200人の赤黒サポーターから選手をねぎらう温かい拍手が送られた。「苦しい試合だったが、DF陣がゼロに抑えられたのは最大限の結果」。26日の第10節の横浜FC戦に続き10人での完封に貢献したGK荒谷が胸を張った。

 アクシデントにも屈せず、戦い抜いた。0-0で迎えた後半21分、MF西が福岡MF中払へのファウルを取られた直後に“事件”は起きた。自陣に戻ろうとした中払が、倒れ込んでいたMF藤田を踏みつけたように見えた。これに対し、MFダニルソンが“待てよ”と手を出し、制したつもりが中払の肩口を押した格好になってしまった。

 ところが、中払は触れてもいない顔面を押さえ大げさに倒れた。それを第4審判が主審に報告。ダニルソンは一発退場という判定を下され、札幌は10人での戦いを余儀なくされた。「胸を押さえただけ。退場に値する行為ではないと思った」とダニルソン。想定外の出来事で数的不利となってしまったが、この退場でメンバーの気持ちが折れることはなかった。

 DF趙は「10人になっても引き分けではなく勝とうという意識を持ってやれたのが大きかった」と振り返る。石崎監督はダニルソン退場でトップ下のクライトンをボランチに下げたが、決して受けには回らなかった。同17分には疲れの見えたMF岡本に代えて攻撃的な砂川を最初に投入。前線に残るFWキリノを生かしたカウンター攻撃で打開を試みた。

 結果的には6試合ぶりの無得点となったが、アウェーの不利な状況の中、貴重な勝ち点1を拾ったことは好材料でもある。「0-0は最低限の収穫」とMF藤田。満足はしない。1つ1つ苦境を乗り越えることで若いチームが大人になっていく。【永野高輔】