<J2:仙台3-0富山>◇第14節◇10日◇富山

 仙台FW中島裕希(24)が、宣言通りの凱旋(がいせん)ゴールを決めた。プロ入り後初めて故郷富山での一戦で、試合開始44秒に2戦連続の決勝ゴールをゲット。FW田中、MF梁も続き富山に3-0で快勝し、クラブ新記録の7連勝に貢献した。中島は家族と後援会の前で結果を出したが、得点した際に右ひざを負傷。9分間しか出場できなかったが、母の日に約束の勝利は届けた。

 時計の針は1分にも届いていない。まさに電光石火の早ワザだ。ゴール前でDF菅井の右クロスを受けたFW中島が、右足でシュート。相手ブロックに阻まれたが、こぼれ球に泥くさく反応し二の矢を放つ。開始44秒。混戦の中、倒れ込みながら左足で冷静に流し込んだ。宣言通りの凱旋弾に「友達や家族、親せきが見に来てくれて気持ちが高ぶっていた」と笑顔。スタンドにこだまする中島コールに、見事に応えた。

 この日は家族や「中島裕希後援会」のメンバー約80人、母校富山一の長峰俊之監督(55)らが観戦。中島は前日、母明美さん(46)に「いつも応援されて力むから、明日は力まずゴールします」と短いメールで宣言し「母の日」の贈り物にした。父誠さん(46)は「(6得点に終わった)昨季は話しても相当落ち込んでいることが多かった。でも今季は明るい。昨日(9日)も電話したらテンションが高かったし、得点の予感がした」と喜んだ。

 今年1月。実家のある高岡市で「J1昇格」と「25ゴール」を公約した。03年の鹿島入り後に発足した後援会の山本哲朗代表(55)は「正月の後援会の総会に裕希が来た時に宣言したんです。今日でまだ3点目だけど、昔から陰で努力を欠かさない子だし、やってくれるはず」と期待した。

 故郷でクラブ新記録の7連勝に導いたが、手放しには喜べなかった。得点の際に相手DFと接触し、右ひざ内側靱帯(じんたい)を負傷。自ら交代を要請し、わずか9分間でピッチを去った。「ゴールは決めたけど悔しい。次の富山戦で頑張りたい」と中島。次回のアウェー富山戦は10月4日。自身も、関係者も消化不良に終わった分は、その時に再爆発させる。【木下淳】