札幌が“キックオフ弾”で敵の出ばなをくじく。14日に徳島戦を控えたコンサドーレ札幌は12日、札幌ドームサブグラウンドで紅白戦を行った。石崎信弘監督(51)は紅白戦のキックオフ直後、一気に敵陣コーナーフラッグ目がけたロングボールを入れるよう指示。得意のパスワークだけでなく、開始直後に奇襲を仕掛けることで相手のリズムを崩し、試合の主導権をつかみにいく構えだ。

 札幌が「0分弾」で試合の流れをつかむ。この日の紅白戦開始直後、FWキリノから、ボランチの上里に戻され、中盤でパスを回しが始まった瞬間、石崎監督は「待った。やり直し」と異例の仕切り直しを命じた。2度目のキックオフでは、中盤でボールを受けた上里が右サイドのコーナーフラッグ目がけて、ダイレクトでロングパス。たった1回だけながら、中盤でつなぎチャンスをうかがう今季のスタイルとは対照的な“奇襲”予行となった。

 石崎監督本人は「最初にプレスをかけられるので、たまには前に蹴ってみろと伝えただけ」と真意は明かさなかったが、ゲーム開始と同時に相手の動揺を誘うには理想的だ。MF岡本が「早い段階で得点できれば優位になる」と言えば、MF藤田も「スタートでうまくいけばいい試合になる」と闘志十分。04年8月8日の湘南戦でFW清野が決めた32秒弾を超えるクラブ最速ゴールで一気に試合の流れをつかみとる構えだ。

 苦手な時間帯で得点を挙げ、一気に攻撃陣のエンジンを暖める狙いもある。今季札幌が最も得点しているのは後半開始からの15分。全27得点の約3分の1にあたる8得点を挙げている半面、前半開始の15分ではわずか1ゴールと最も少ない。しかも、ここ5試合の前半は無得点。90分間、常に心身両面で追い詰められる「後半勝負型」の戦いは、J2の長丁場を乗り切るにはデメリットも大きい。

 4月19日のC大阪戦で今季最速6分弾を決めている岡本は「本当なら最初に(得点が)取れる方がいい。集中して試合に入りたい」と言う。前半開始で1点、得意の後半開始でさらに追加点を奪えれば、確実に勝利は近づいてくる。【永野高輔】