<J1:清水1-1広島>◇第28節◇3日◇アウスタ

 清水の日本代表FW岡崎慎司(23)が「絶好調中畑清作戦」で、5戦ぶり今季13得点目をたたき込んだ。前半ロスタイム、左サイドからのクロスを得意のヘディングで合わせ、同点とした。昨年結婚した夫人から、元プロ野球巨人の中畑清氏のキャッチフレーズ「絶好調!」を繰り返し唱えるように助言され、実行したとたんに不振から脱出した。今季初の4連勝こそ逃がした清水だが、勝ち点1を積み上げ、この日試合がなかった鹿島を得失点で上回り、99年以来10年ぶりの首位に躍り出た。

 「絶好調宣言」が現実になった。0-1で迎えた前半ロスタイム。左サイドからのアーリークロスを、岡崎はファーサイドに流れながらジャンプヘッドを放った。「逆サイドに浮かしたボールを狙った」。山なりの軌道を描いたシュートは、左ポストをたたき、ゴールネットへと吸い込まれた。「ポストに当たってよく入ってくれた。やっぱりゴールは気持ちいいですね」と、5戦ぶりのゴールに最高の笑顔を見せた。

 ここ4戦不発と苦しんでいた。首位浮上のかかる広島との大一番を前に「『どんな状態でも絶好調って言い続ければ』って、嫁から言われたんですけど、今の自分にはそれもいいかなと思って。これからは、絶好調中畑清作戦ですよ」。現役時代の中畑氏のことは知らない。それでも、お笑いコンビのバッファロー吾郎の「絶好調中畑清です!」と叫ぶギャグをテレビで見た夫人からのアドバイスに救われた。

 「傷が多いほど、いい男になるんですよ」。今季13得点中、実に7得点を占める得意のヘディング弾だったが、9月23日の練習試合で相手選手との接触で裂傷を負い、みけんを2針縫っていた。今週、抜糸を済ませたばかりで傷跡は残り、衝撃による痛みはあるが「最初からヘディングを狙ってました。みけんに当てたってことで」と笑った。

 勝ち点最大17差あった鹿島に追いつき、得失点差で上回ったため、暫定ながら首位に躍り出た。「まだ一時的なもの。ここからの戦いにかかってくる」と引き締めながらも、ゴールについては「ゴールを決められればポジティブになれる。ゴールは、僕にとって元気の源。また元気になれます」と、晴れやかな表情を見せた。初の「年間リーグ制覇」に向け残り6戦。エースのゴールカウントが再び動きだした。【為田聡史】