名古屋の日本代表DF吉田麻也(まや、21)がオランダ1部VVVに移籍することが27日、分かった。本人が「移籍することになりました」と明かした。すでに仮契約書にもサインした。来年1月初旬にオランダに出発する。同24日の強豪フェイエノールト戦でのデビューが濃厚。アジア杯予選イエメン戦(同6日・サヌア)のA代表にも選出されたホープが、屈強な選手の多いオランダリーグでもまれ、飛躍を期す。

 吉田が海外挑戦の決断を下した。愛知・豊田市内での練習後「フェンロ(VVV)に移籍することになりました」と明かした。仮契約書にもサインし、名古屋側にも報告した。今季で契約が切れるため移籍金はゼロ。関係者によれば、年俸は同リーグのEU圏外選手最低保障の50万500ユーロを上回る、50万3000ユーロ(約6539万円)で契約期間も3年半。守備に不安を抱えるVVVは「即戦力」として大きな期待を寄せている。

 11月4日に正式オファーが届いてから、約2カ月を要した。ジュニアユースから通算9年間在籍した名古屋への愛着が強く、サポーターとクラブの慰留に揺れたが「海外でのプレーはずっと抱いていた夢。名古屋の誇りを胸に、しっかり戦ってきたい」と決断した。「サポーターの皆さんと優勝したい」。天皇杯Vを置き土産にするつもりだ。

 ルーキーだった07年にいきなり頭角を現し、昨年は北京五輪代表入り。187センチの高さと対人プレーの強さに加え、攻撃の起点となるビルドアップ能力を備えた万能型センターバック(CB)として闘莉王、中沢の後継者と目される逸材。今季はリーグ4得点と得点力にも磨きがかかった。

 年明け早々、イエメン戦の開催地から直接オランダに渡る。デビュー戦の相手フェイエノールトには、日本が来年のW杯1次リーグで対戦するデンマーク代表MFトマソンもいる。「トマソンをしっかり止めて、W杯の代表入りへアピールできたら」。海外組ただ1人のCBとしてW杯最終メンバー入りを狙うことになる。