【グアム30日=永野高輔】10年石崎札幌は攻撃のバリエーションアップを図る。コンサドーレ札幌はJ1大宮と今季初の対外試合となる練習試合(35分×3本)を行った。新加入FW近藤祐介(25)が、2本目19分に自ら倒されて得たPKを決め先制。その後2失点し敗れたが、石崎信弘監督(51)は近藤やFW内村圭宏(25)ら、新戦力加入による得点パターン増への手ごたえを感じ取っていた。

 ニュー石崎札幌がベールを脱いだ。この日の大宮戦はいきなり近藤、内村の新戦力2トップが先発出場。お披露目となる初陣で、真っ先にアピールしたのは近藤だ。2本目19分に左サイドからペナルティーエリアに切り込み大宮DF深谷をひきずりながら突進。ファウルを誘発し、自ら得たPKを右足で冷静に決めた。

 「まだまだ決められるところはたくさんあった。パスミスも多かった」と近藤。PKながら新11番が10年札幌初得点を決めれば、負けじと愛媛から来た新13番内村も奮闘した。「今日は出ただけ。もっと緩急を出していかないと」と反省したものの、50メートル5秒台という自慢のスピードを生かしドリブル突破を連発。全体合流わずか2日とは思えない動きで石崎監督にアピールした。

 2人の新戦力の活躍に石崎監督も上々の評価を与えた。「新加入選手が入り、昨年の最初の試合(大宮戦)と比べると攻撃の面でバリエーションは増えている」。守備面での積極的な「石崎プレス」をたたきこんでいた昨季に比べると運動量では足りない面はある。だが、それ以上に指揮官はパワーの近藤、スピードの内村の両FW加入による攻撃陣の進化を予感した。

 チームメートも変化を感じている。センターバックで先発出場した石川は「近藤さんは前でつぶされないでキープしてくれる。そこ(近藤)に入ったときに追い越す動きがでれば良くなると思う。内村さんも速くてうまい」と言う。昨季はキリノをポストプレーヤーとして生かそうとしたが、DF裏に抜ける本来のスタイルから脱却できず、前線でボールをおさめられるFWの補強が急務だった。

 近藤は現時点では180センチ、86キロと重量感が武器。この日も191センチ、87キロの大宮DFマトとも対等に競り合うなど日本人離れした体格が生きることを証明し、待望のポストプレーヤーとしての能力も発揮した。内村の突破力も、サイド中心の昨季のスタイルにはない貴重なアクセント。あとは昇格に向け、スムーズに既存戦力との融合を進めるだけだ。