<J2:札幌2-0岡山>◇第4節◇28日◇札幌ドーム

 コンサドーレ札幌が今季ホーム初勝利を挙げた。FW近藤祐介(25)が前半36分、後半38分と2得点を挙げ、勝ち点3をもたらした。センタリングを胸と腹で押し込んだ先制点は、FW中山雅史(42)の体を張るプレーを見習って生まれたもの。ゴンゴールを手本としたコンゴールが、2連勝へと導いた。

 右サイドのDF西嶋からセンタリングが上がった瞬間、近藤の脳裏には先輩の姿がよぎった。「足で行ったら空振りする。体のどこかに当たって入ってくれればいい」。前に倒れ込みながら、浮き球に体を投げ出した。胸、腹、ひざと当たったボールは、ゴールへと流れ、待望の先制点となった。「ゴンさんの顔が浮かんだので。ゴンさんっぽく、体で行こうと思った」と顔をほころばせた。

 180センチ、78キロの体を生かしたパワーに加え、ボールキープできる技術も持ち合わせる。それだけに札幌に来るまでは、泥臭いプレーとは無縁だった。それが中山の練習での姿を見るにつれ、考え方が変わっていった。「ゴンさんは普段から体で行っている。自分はそういうプレーは得意じゃないから、見習おうと思っていた」。そうして生まれた札幌加入後初ゴール。「ゴンさんと同じチームじゃなかったら、今日も体では行っていなかった」。そう大先輩に感謝した。

 チームにとっても待ちこがれたコンゴールとなった。昨夏、勢いに乗り切れないクラブはFW補強に乗り出した。その第1候補が近藤だった。しかし金額面などから獲得を断念し、MFハファエルに切り替えた経緯がある。それが昨オフ、近藤がJ1東京を戦力外となったことから、札幌に招き入れることができた。その期待に応え、「今日がスタートという気持ち」と新天地でのさらなる飛躍を誓った。

 押され気味となった後半38分には、ハーフライン付近から40メートル以上ドリブル。利き足の左で豪快に2点目も決め、今季ホーム初勝利を決定づけた。石崎監督からも「近藤が2点取れたのはチームとして良かった」と称賛される活躍も、一喜一憂はしない。「どんな試合でもいいから次も勝ちたい。1位でJ1に復帰できるようにやっていきたい」。目標達成へ、2連勝じゃ物足りない。貪欲(どんよく)に、上を目指していく。【砂田秀人】