強いモンテディオを“おっかさん”が育てる!

 J1山形が、待望のユース寮(寮名は検討中)を天童市内に確保し、長期的強化プランを開始した。県外の有望株の受け入れ態勢が整っただけでなく、トップの若手選手の食事管理も可能となった。調理するのは、プロクラブでは異例となる地元主婦たち。愛情たっぷりの「おふくろ料理」で、未来のエース候補たちが、強靱(きょうじん)な肉体を手に入れる。

 山形の将来を背負って立つユースの「育成基地」がついに動き始めた

 NDスタにほど近い場所に、空き家となっていた社員寮を借り上げ、現在14人の“金の卵たち”が、寝食をともにする。

 この育ち盛りの高校生たちの、朝昼晩のエネルギー補給を支えているのはなんと地元の「お母さん」たち。近隣の主婦が腕によりをかけておいしい料理を作る。

 プロチームでは珍しい「お母さん」コック。クラブが、近くの公民館を通じて調理人を募り、4人の主婦による「キッチン強化部」が発足した。パートタイムでシフトを組み、選手の胃袋を満たす。6日の夕食を担当した40代の「お母さん」が、ほかの3人の思いも代弁する。「この中からプロになる子が出るのが夢なんです」。山形が、長期にわたりJ1で活躍できるように、ユースからトップへの道―を援護射撃する。この日こしらえたハンバーグにも、そんな思いを練り込んだ。

 寮の稼働は、トップチームにも間違いなく好影響を与える。朝、夕2回の食事をトップ加入3年目までの選手にも提供。中井川GMは「食事は体作りに重要。管理栄養士にメニューを作ってもらって、みんな喜んでいる」と説明する。DF山田らは、目に見えて体が一回り成長している。今後、加入3年目までに限らず、希望者に食事を出す計画も練っている。

 ユース生たちが「うまい!」を連発し、1度の食事で2・5升の米を完食するほど、ご飯が進むおふくろ料理。メニューは渡されても、レシピはキッチン強化部4人の自由。低予算クラブのため、他クラブのように給食業者を入れられなかったが、毎日味付けが異なり飽きないという利点を生んだ。

 朝5時半から調理場に立つ「おっかさん」の姿を見れば、自然と地域の支援を感じ、練習にもさらに熱が入ろうというもの。「おっかさん」が愛情を注ぐ若いモンテ戦士と候補生たちが「強豪山形」の礎となる。【山崎安昭】