<J1:浦和4-1湘南>◇第20節◇21日◇平塚

 W杯後のJ再開から7戦1勝(1分け5敗)と低迷していた浦和が、ようやく目を覚ました。後半10分にDFスピラノビッチ(22)の来日初ゴールで先制すると、FWエジミウソン(27)のJ1最年少通算100得点などで、4-1で湘南に大勝した。浦和の勝利は7月28日京都戦以来5試合ぶり。

 我慢の末に待望のゴールが生まれた。攻め込みながら前半無得点でいやなムードになりつつある中、後半10分にDFスピラノビッチが左からのクロスを頭で合わせ来日初ゴールとなる先制点を決めた。「決められて良かった。0-0の局面は1点目が大事だから」。この1発でガラリと流れが変わった。

 同17分にはFWエスクデロがミドルシュートを突き刺し今季初得点で続く。さらに通算200試合出場のFWエジミウソンが33、34分と連続ゴール。5試合無得点だったエースがJ通算100ゴールを最年少でマークした。「先制して選手が重圧から解放された」とフィンケ監督は振り返った。

 W杯再開後は苦戦が続いてた。前節まで7試合でわずか1勝。最近4試合は未勝利だった。シーズン10位での折り返しは現行制度となった05年以降ではワースト。さらにFW田中やMF鈴木ら主力にけが人が続出。監督の進退問題に発展しかねない状況の中、8日の神戸戦後には橋本社長、柱谷GMが監督とのトップ3会談を実施。ACL出場権獲得という目標を確認し社長も監督続投を明言した。

 監督も練習後にトレーニングルームや医務室に顔を出すなど選手とコミュニケーションをとった。MF阿部、鈴木ら5人の選手代表ともミーティング。MF山田直、梅崎が負傷し攻撃陣が手薄になると、センターバックの山田暢、サイドバックの宇賀神を前線で起用。得点という最後の課題に向けてチーム一丸となって取り組んできた。その成果がようやく表れた。

 勝ち点27で暫定10位。エジミウソンは「みんなで力を出し切っての勝利」と話した。次戦は鹿島をホームに迎える。前売りは完売となるほどサポーターの期待は高い。「強いメンタルを持ち続けること」と監督も話す。京都に大勝した後に3連敗を喫しているだけに、気は抜けない。浦和の逆襲はここから始まる。【加納慎也】