横浜のMF中村俊輔(32)が主将就任で、理想とするロベルト・バッジオ氏(43)の高みを目指す。25日、横浜は今季の新主将を発表。横浜市内の公園で砂浜練習を終えたあと、中村は小学生以来の大役を「挑戦」と明言した。目標は04年に37歳で引退するまでキャプテンマークを巻いたバッジオ氏。希代のレフティーが、新たな境地を切り開く覚悟をみせた。

 約20年ぶりのキャプテンマークを巻く。横浜市立深谷台小時代に所属した深園SC以来の大役。中村を動かしたのは、独自の美学を貫いたファンタジスタだった。

 中村

 バッジオだよね。36、37歳になってもかっこ良かった。衰えても選手として輝いている、威厳がある。そういうのは見ていて良かったな。

 レッジーナ時代の03年には、ブレシャ所属のバッジオと対戦した。翌04年、バッジオはキャプテンマークを巻いたまま、プロ生活の幕を閉じた。その姿が心に刻まれていた。日本代表からの引退を公言し、サッカー人生の晩期を迎えたいま、イタリアのファンタジスタの生きざまが明確な理想となった。「挑戦だよね」。木村監督から前日24日に打診され、覚悟を決めた。

 さっそく改革案も披露した。「欧州では選手だけの食事会が結構ある。負けはじめたから焼き肉とか好きじゃない。普段から夕食を食べるとか、やりたいね」。実は昨季終盤も食事会を主催。ベテラン選手の戦力外通告でチームが揺れた時期に、音頭を取っていた。今後は定期的な「俊輔ディナー」で、チームの結束を高めていく。

 練習前、新主将として「頑張りましょう」と一言だけ声をかけた。「リーダーってまずは先頭に立つもの。背中を見て、選手たちに感じてもらいたい。マリノスで3年目で10番つけた時も、自分のやり方を追求した。主将でも自分の色を見つけたい」。04年以来の悲願の優勝へ。横浜に入団した97年と同じ25番を背負う新主将の背中が、冬の日差しに輝いていた。【阿部健吾】