Jリーグ史上初となる他競技との「年間共通パスポートチケット」が今秋にも発売されることが2月28日、明らかになった。J2栃木の中津正修社長(62)の仰天プランで、県内に4つあるプロスポーツクラブを盛り上げるために提案。すでに各クラブの社長間で検討されている。松田浩監督(46)3年目の今季は「J1へ」をスローガンに掲げ、3位以内が目標。戦力だけでなく集客アップでJ1へ乗り込む構えだ。

 栃木県4大プロスポーツ相互強化で、J2栃木がJ1昇格へ加速する。県内にはサッカー以外に、リンク栃木ブレックス(バスケットボール)日光アイスバックス(アイスホッケー)宇都宮ブリッツェン(自転車ロードレース)が活躍中。「他県にはないオリジナリティーを出したい。異種競技を1度でも生観戦してもらえれば、魅力発見のきっかけになる」。中津社長は第1弾として「年間共通パスポートチケット」発売を今秋までに実現することを見据えた。

 米NBA経験のある田臥勇太や、NHLから加入した福藤豊、元F1レーサーの片山右京らが在籍するなど、それぞれ注目度は高い。ロードレースはこれまで街頭応援が主だったが、ゴール付近など拠点に仮設スタンドを設置することも発案された。詳細は今後、各クラブの社長らが不定期に集まり決定される。

 また、施設や人材、トレーニング方法や栄養学など相互活用することでの相乗効果にも可能性が広がる。一瞬のスピードが要求されるバスケットの瞬発力、氷上の格闘技といわれるほど体がぶつかり合うアイスホッケーの対人力、150キロを超える山登りに耐え得るロードレースの持久力などサッカーに通じる部分は大きい。合同練習などで選手間が刺激しあえる環境も整える意向だ。

 同社長のビジョンは壮大だ。「栃木SCのSCはスポーツクラブが理想。地方都市の新しい在り方をつくりたい。県民や市民が一堂に会して集まれる場所を目指す」。数多くの人が集まれば、そこに多くのビジネスが生まれることなど経済効果にも期待している。J加入3年目の今季は本拠・栃木県グリーンスタジアムを1万4000人規模に改修。エンターテインメントの会場としても活用できるよう、現在は電光掲示板設置を県に正式要望し、議会で前向きに検討されている。