<なでしこリーグ:浦和1-1INAC神戸>◇第15節◇30日◇NACK5

 沢の劇的弾で王手!

 INAC神戸のMF沢穂希(33)が、1点を追う後半終了間際に劇的な同点弾を決め、浦和と1-1で引き分けた。開幕から13試合目で初黒星寸前だったが、エースの1発で不敗を守り、勝ち点35に伸ばした。次節11月6日、2位日テレとホームでの直接対決に勝てば悲願の初優勝が決まる。

 エース沢の勝負強さが初優勝を大きく引き寄せた。敗戦を覚悟した後半44分だった。FW大野からの素早い左クロスに、ゴール前で相手DF陣4人に囲まれながら、頭で合わせての同点弾。さすがの沢も何度もガッツポーズを重ねるほどの劇的ゴールで貴重な勝ち点「1」をもぎ取った。

 「大野とは目が合ったので来ると思ってました。後で見たらめっちゃ恥ずかしい(ガッツポーズ)ですね。でも1点の重みを本当に感じたのでとっさに出ちゃいました。ホントにうれしくて」

 日本が初優勝した7月のW杯決勝米国戦でも、延長終了間際に同点ゴールを決めていた。視察したなでしこジャパン佐々木監督は「すごいゴールだった。ああいうところで決められるのが沢のすごさ」と絶賛した。INAC神戸の星川監督も「なでしこ始め、何度もチームを優勝に引っ張ってきた選手の底力。沢がいるといないではチームは大違いです」と最敬礼だ。

 熱狂的な浦和サポーターに囲まれた独特のアウェーの雰囲気の中、圧倒的にボールを支配しながら決定力を欠き、前半19分に先制された。INAC神戸がリードされて後半に折り返すのは初。今季開幕から不敗を守ってきた首位チームに初めて訪れた試練だった。だが、沢は動じずに今季4点目を決めた。

 これで次戦11月6日、日テレとの直接対決を制すれば初優勝が決まる。沢や大野ら4人が昨季まで在籍していた古巣日テレ相手に、ホームで決められる最高の舞台が整った。「本当にすごいシチュエーション。地元で応援してくださる皆さんの目の前で決めたい」。沢が真っ白な歯を輝かせ、高らかにV宣言した。【土谷美樹】

 ◆今後のゆくえ

 残り3節で、11月6日に首位INAC神戸(勝ち点35)と2位日テレ(同34)が直接対決(ホームズ)。残り試合数で日テレが1試合少ないため、INACが勝てば4差となり、2節を残して優勝決定。引き分けの場合は、12日のINAC神戸-AS狭山戦(ホームズ)以降に持ち越される。日テレ勝利の場合は、勝ち点を37まで伸ばして首位に立つが、INACが残り2試合を連勝すれば勝ち点41となるため、自力優勝はすでに消滅している。