Jリーグのシーズン制移行を検討する戦略検討会議で、秋春制移行前年のシーズンを1年半の3ステージ制で開催する計画があることが15日、明らかになった。15年3月から第1ステージを開始し、同年内に第2ステージまでを実施。その成績をもとに、16年3月ごろから上位グループと下位グループに分けて「スコットランド方式」の決勝ラウンドを行い、16年7月下旬から秋春制移行に備える形だ。今日16日のJ1・J2合同実行委員会で計画が説明される見込みだ。

 秋春制移行前年に「移行期特別シーズン」として、1年半で3ステージ(S)を開催する計画が明らかになった。戦略検討会議が提案しており、15年3月上旬から16年5月ごろをメドに3Sを行い、16年7月下旬から本格的な秋春制移行を実施するプランだ。

 関係者によると「秋春制移行前年がどうしても1年半のシーズンになる。どうすれば潤滑に移行できるか、いろいろな案があり、3ステージ制の計画が出ている」と明言。戦略検討会議内のプランが、今日16日のJ1・J2合同実行委員会で説明される見込みだ。

 特に注目されるのは第3Sの部分だ。15年3月から同12月初旬にかけて第1S、第2Sを実施。その結果をもとに上位グループと下位グループを2つに分断し、16年3月ごろから第3Sにあたる決勝ラウンドを実施する案が浮上。スコットランド・リーグがモデルになっており、同関係者は「上位グループは優勝やアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権、下位グループには残留争いが絡む」と狙いを明かした。

 ただ、秋春制移行前年に1年半のシーズンを行うためには、財政問題という大きな壁が立ちはだかる。J各クラブはスポンサー契約を現状のシーズンに合わせて1年ごとに結ぶケースが多く、予算も組んでいる。そのため、スポンサーの理解が得られなければ、移行前年の1年半のシーズンを1年分の予算で戦うことを余儀なくされる。資金面に余裕がある強豪クラブならまだしも、J2のクラブなどは運転資金が枯渇し、経営が滞る可能性が高い。

 2013年シーズンから導入されるライセンス制度には、債務超過に陥ったクラブは翌年のライセンスが発給されない規則があり、Jリーグで戦うことができない。1年半シーズン実施により、そのようなクラブが続出しては意味がない。

 戦略検討会議は5月に秋春制移行の可否を含めた基本方針を提示する意向だ。1年半の3ステージ制を経ての秋春制移行-。実現すれば画期的なプランの今後の動向が注目される。

 ◆秋春制移行の経緯

 以前からことあるごとに計画が討議されては先送りになってきた。秋春制を採用した場合、欧州と日程が合うため選手の移籍が潤滑になるなどの利点がある。また、15~18年の国際Aマッチデーが3月、6月(奇数年のみ)、9月、10月、11月に各2試合ずつと設定されたため、現行のJリーグの日程ではリーグ終盤にAマッチデーが集中し、国内組の選手の負荷が高まるが、移行すればそれが回避できる。昨年5月上旬のJ1・J2合同実行委員会に日本協会の田嶋副会長が出席し、Jリーグの13年シーズンを1年半行い、14年シーズンから秋春制に移行するプランを提案。Jリーグ側は同下旬の臨時合同実行委員会で「最短移行時期」を15年秋に定めたが、同10月のJリーグ理事会でその案も却下された。現在は戦略検討会議でシーズン制移行が討議されている。