Jリーグの新チェアマンに、リクルート・エージェント社の元社長で、Jリーグ理事を3期務めた村井満氏(54)の就任が確実となった。Jリーグは明日16日に役員選考委員会を開き、大東和美チェアマン(65)の退任に伴う後任を選定。同日中に臨時理事会で協議し、今月末に予定しているJリーグ総会で正式決定となる。

 初の企業人チェアマンが誕生する。Jリーグは財政基盤を固めるため、経営専門家をトップに据えることになった。白羽の矢が立ったのは、リクルート関連企業などで社長として手腕を発揮してきた村井氏だ。昨年までは香港で人材派遣会社を立ち上げ、業績を伸ばした手腕に今後を託す。

 Jリーグは93年に開幕し、昨季で20年のシーズンを終えた。開幕時のバブルから低迷期を経て、現在も発展途上のリーグとして徐々に基盤を固めつつある。現在は3年前の東日本大震災の影響もあり、財政面で伸び悩んでいる。その打開策として15年シーズンからの2ステージ制復活などで、スポンサー契約を取り付けるなど経営安定のためもがき苦しんでいる。

 そこでJリーグは初めて、企業人の招聘(しょうへい)を決断した。歴代チェアマンは初代の川淵三郎氏を除き、第2代の鈴木昌氏(鹿島)、第3代の鬼武健二氏(C大阪)、現在の大東氏(鹿島)とクラブ社長を経験し、Jリーグ実行委員会メンバーとしてサッカー界発展のために尽力してきた人物を選んできた。

 村井氏は、早大時代に同好会としてのサッカー歴しかないが、6年前からJリーグの理事を務めるほどサッカーへの理解は深い。今季から始まるJ3の各クラブへの配当金など、経営面の課題が多いだけに、その手腕に期待がかかる。

 任期満了により今月限りで退任となる大東チェアマンは「役員選考委員会で決めることだから、まだ正式に決まったわけではない」と明言を避けたが、今後はJリーグの関連会社に勤めながら、新体制をバックアップしていく予定だ。

 初の企業人チェアマン就任を各クラブがどう受け入れるか。Jリーグの経営は必ずしも、利益最優先の企業経営とは異なる部分もある。今後の課題は多いが、初の試みに注目だ。

 ◆村井満(むらい・みつる)1959年(昭34)8月2日、埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。早大法学部を卒業し、83年にリクルート社入社、人事課長などを経て、00年に人事部門担当執行役員。04年リクルート・エージェント社長に就任し、11年に退任。同年RGF

 Hong

 Kong

 Limited社長に就任し、後に会長に。昨年末に会長退任。08年7月からJリーグ理事。