<J2:愛媛2-0札幌>◇第1節◇5日◇ニンジニアスタジアム

 “チアゴ大作戦”も実らなかった。J2札幌は開幕戦で愛媛に完敗した。石崎信弘監督(52)は2点を追う後半28分、187センチの長身DFチアゴ(26)をFWとして投入。究極のパワープレーで攻めたが、ゴールは遠かった。クラブとしては07年以降5季連続で開幕戦勝ちなし、石崎監督は08年以来4季ぶりの開幕白星を逃した。

 石崎監督の秘策をもってしても、勝利は挙げられなかった。2点ビハインドで迎えた後半28分、チアゴが途中出場。187センチ、88キロの巨漢はDFラインには入らず、一直線にゴール前へと上がった。「残り15分で彼の高さを生かしたいという狙いがあった」。攻守ともに後手に回り、チャンスが少ない。そんな局面を1発で打開させる究極の飛び道具だった。

 スタンドのサポーターも「チアゴってFW?」とざわめいたが、実は準備していた。関係者によると、非公開となった3日の練習中にオプション布陣として“チアゴプラン”をテストしていた。ロングボールを前線に蹴り出し、格闘家のような肉体のチアゴが競り合う。そのこぼれ球を拾って攻めるという明確な意図があった。同32分には右CKから強烈なヘディングシュートを放つなど、チャンスはつくった。だが、練習1回では精度が低く、ゴールには至らなかった。

 パワープレーに頼らざるを得なかった試合運びは、反省する必要がある。DF河合は「遠くから来たサポーターに申し訳ない。DFラインがばらばらになってしまった。練習でやっていたことが、全然できなかった」と言った。1点目はロングボールに対するセンターバック2人の対応ミス。2点目もゴール前でのアプローチが甘く、簡単にミドルシュートを打たれた。課題は明らかだけに、次節13日のホーム開幕戦までに立て直すことは可能だ。

 エース古田、助っ人アンドレジーニョ、成長株の三上、右サイドバック日高、GK高木貴が負傷離脱した。精神的支柱のFW中山も肋骨(ろっこつ)骨折でベンチ外。厳しい状況ではあるが、乗り越えなければJ1昇格戦線には残れない。「こんながっかりさせる試合は2度としてはいけない。戦う以前の問題だった。言い訳できない」とMF高木純。ショッキングな敗戦を糧にして、もう1度、出直しを図る。【永野高輔】