<J1:甲府1-1山形>◇第13節◇28日◇中銀スタ

 山形は今季初先発のMF伊東俊(23)のプロ初ゴールとなる同点弾で、無得点4連敗は免れた。

 今季初先発のスピードスターが、4連敗の危機から救った。0-1の前半26分、DF宮本のクロスがワンバウンド。MF伊東はボールが浮き上がった瞬間、右足を振り抜いた。雨を切り裂く超低空ライナーが甲府ゴールを揺らす。プロ初得点はチーム4試合ぶりの勝ち点につながった。「感想は…特にないです」。いつも通りの口下手だったが「まだまだっす。2桁(ゴール)いかないといけないんで」と、初めて強気な言葉を続けた。そしてはにかんだ表情に喜びが凝縮されていた。

 “本物”へ進化しつつある。今季に入り、体脂肪率が10%を下回った。一般的なJリーガーは大抵、1桁台。やっと体が「プロ仕様」に変わってきた。その背景には、昨年9月に行った左足三角骨障害の手術があった。入院を機に食生活が変化。特に、飲酒には気をつかった。休みの前日には飲んでいた酒を、一切断った。節制した生活で体調面が安定。前節仙台戦直後には「体はキレキレでした。今シーズンで一番だった」と話していた。

 試合後、同い年でともにこの日に得点を挙げた甲府の194センチFWハーフナーと談笑。身長差は約30センチ。見下ろされながら「お前、ヒゲ生えるんだな」といじられるなど、まだまだあどけない。それでも試合で見せるキレは「本物」を予感させる。【湯浅知彦】